「ねえ、秒速4センチなんだって」
「え、なに?」
「寿司が回るスピード。秒速4センチメートル」
「そういうのよく知ってるね」
回転寿司での話である。時々回転寿司に行く身として、知っておきたいのは秒速4センチで回るネタは何を考えているのかである。
例えばの話だが、くら寿司ではドーム型のプラスチック製の物体に覆われた状態で寿司が回ってくる。人間側からすれば、菌が付かないので衛生上良いのかもしれない。しかし、ネタ側としてはどうだろうか。密閉状態で最期を迎える。嫌ではないのだろうか。
他にも、ジュースやケーキ、プリンなどの後ろで回ることになったネタは前の景色を見ることができない。自分がどこを一体まわっているのか、位置情報がよくわからないまま食べられていく。もしくは捨てられてしまう。そんな最期を迎えると少しでも考えたのだろうか。
寿司はこの状況を悲しむだろうか。しかし、寿司は自殺することはできない。自殺することができる人間はずいぶん恵まれているのではないのだろうか。寿司が自殺できるようになった場合の統計は一体何のネタが多いのか。少々気にはなる所である。
イクラの上に乗ってるキュウリは嫌いです。