コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

吾輩は尻尾である。正体はまだ無い。

お元気ですか?

 

近所には猫が多い。今住んでいるアパートの前を歩くと約7割の確率で猫に会える。人に慣れているのか、近づいても逃げ出さない猫が多い。とある日なんて、家の前まで猫がついてきて、ドアの前でゴロゴロしていた。おかげで家の前で5分近く立ち往生していた。傍から見たらただのカギが無くて呆然としている人である。

 

先日のことである。いつものように猫を見かけた。しかし、尻尾だけである。尻尾だけ見ると完全に猫だが肝心の身体が見えない。本当に猫なのか。尻尾以外は他の動物かもしれない。誰かが騙そうとしているのかもしれない。猫を見て、少し癒され、ご飯を食べて、健やかに寝る。そんな良い一日は俺の手のひらの上の出来事だぞと、ほくそ笑むつもりで誰かがいるのかもしれない。そうこうしているうちに尻尾は消えていた。

 

あの尻尾の持ち主は誰だったのだろうか。やはり猫だろうか。それとも他の動物か、はたまた私たちが未だ見た事のない生物だろうか。普通こんなことを言えば馬鹿にされたりするのが関の山だ。しかし、あの尻尾の正体は誰にも分からない。まだ尻尾は「名もない生き物の尻尾」なのだ。

 

次の日、自転車を漕いでいると数十メートル離れた所に尻尾らしきものが落ちているのが見えた。近くには黒い物体も見える。動物が車に轢かれたのか、それとも途中で力尽きたのか、嫌な気持ちを抱えつつ近くを通ると、たわしと黒い袋だった。もしかしたらこの間見た尻尾も、ただのたわしと黒い袋かも知れない。そう思うと一気に沈んだ気持ちになるのだった。

 

みんなも早く尻尾の正体を掴もう。