コンビニの前。
強盗「借金も払えない、ギャンブルも負けたってなると、もう強盗でもして金を作るしかないな。このコンビニには悪いが、襲わせてもらおう」
強盗、中に入る。
店員「いらっしゃいませー」
強盗、ナイフを取り出す。
強盗「強盗だ!有り金全部こっちによこせ!」
店員「今、なんと?」
強盗「だから強盗だ!有り金を全部こっちによこせって言ってんだ!」
店員「......おめでとうございます!」
強盗「はあ!?」
店員「おめでとうございます!開店以来、1万人目の強盗になります!」
強盗「はあ!?」
店員「さあさあこちらへ」
店員、強盗を別室へ案内する。
強盗「おい!?おい!?」
記者たちがカメラのフラッシュを一斉にたく。
店員「えー改めまして、今回、当店オープンして以来1万人目の強盗になりました、お名前は?」
強盗「いいから金をよこせ!」
店員「お名前は?」
強盗「え!?た、田中......」
店員「当店オープンして以来1万人目の強盗になりました、田中さんです!」
一斉にフラッシュがたかれる。
店員「当店から記念品が贈呈されます!」
強盗「え!?あっ、ありがとう......」
店員「今のご感想は?」
強盗「えっ、あっ、色々言いたいことは山ほどあるんだけど、早く金をよこせ!」
店員「それと?」
強盗「はあ!?えっ、あ、そうだ!1万人目って、どんだけ強盗被害を受けてんだよ!」
店員「妙に人気なんですよね」
強盗「強盗のメッカかよ!なんか怖いよ」
店員「それでは次に質疑応答に入ります」
強盗「もうやめてくれ!」
強盗、部屋から一目散に逃げ出す。
店員「ちょっと、まだ質疑応答が」
強盗「もう止めてくれ!なんかもやもやした気持ちになるだろ!」
強盗、慌ててコンビニから飛び出す。
通行人の通報により、パトカーが店の前では待機していた
警官A「武器を捨てて、おとなしく投降しなさい!」
強盗「はい!します!投降します!」
強盗、妙な安心感を覚え、警官の前まで行く。
警官A「23時13分、強盗の容疑で逮捕」
強盗「(ため息をつく)」
警官B「おめでとうございます!」
強盗「!?」
警官B「当管轄内で、ちょうど1万人目の逮捕者です!」
強盗「はあっ!?」
警官B「さあ、記念品の贈呈式がありますので、会場に向かいましょう」
強盗、パトカーで連行される。
強盗「やめろ!もう懲り懲りだ!」
警官B「逮捕された時のご感想は?」
強盗「やめてくれえええ!!」
パトカーのドアが閉まり、走り去っていく。