コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

免許証は未だ有効である

 免許を取ってからはじめて車に乗った。現代社会は非常に便利なもので、レンタカーというものがあった。車を借りて、適当に乗り回す。途中「止まれ」という標識が出てきた。私は人から強い口調で命令を受けると非常に不愉快になる。この性格のせいで社会的と馬が合わない。私は止まれの標識とも馬が合わないだろう。小学校のクラス替えで、もし同じクラスになった場合、おそらく舌打ちをして、1年間どう接するかを頭の中で思いめぐらすのだ。席替えでは同じ班にならないように願いながらくじを引く。たまに先生の気まぐれで自由に席を決めて良い場合は楽なのだが。

 しばらく進むと、40と書いてある標識が目に入った。これは何の数字を指しているのだろうか。偏差値だろうか。「この標識がある道路は、偏差値が40以上でなければ侵入することができない」という意味だと私は解釈した。私の偏差値は40は確実に超えているため、何も考えないで進んでいたが、後日友人に「高速道路は80や100という数字がある」ということを教えられた。偏差値80はともかく、100は非現実的やしないだろうか。そんな標識を作るくらいなら、いっそのこと通行禁止の標識を立てたほうが手っ取り早いだろう。

 道路を道なりに進み、適当な店に入ることにした。私は知っている。店に入るときは駐車というものをしなければならないことを。おそらく白い線で区切ってある所に入れればいいのだろう。空いているスペースを探していると、看板が目に入った。

「前向き駐車にご協力ください」

 前向き。おそらくポジティブということだろう。私は不快な気分になった。なぜポジティブを強要されなければならないのか。無駄に明るくないといけないタイプの居酒屋で働いているのではない。駐車というのはネガティブな気分になることだと誰か偉い人が言っていたはずだ。不満が喉元までこみあげ、思わず嘔吐きそうになりながらも、「駐車は楽しい駐車は楽しい駐車は楽しい.......」と、10回くらい繰り返しながら、駐車を終えた。

 帰り道。猛スピードの車とすれ違った。私には到底できない。スピードを出す車が必ず事故を起こすとは限らないが、事故確率を上げているのには変わらない。車に乗っている以上、被害者加害者を問わず、事故の当事者になる可能性は否めない。しかし、スピードを必要以上に出すことは、事故の当選確率を上げる行為ではないだろうか。つまりスピード違反を起こすと、「事故ガチャ!今なら重傷確率3%」みたいなガチャを引いているのと同じなのだ。しかもこのガチャ、無料で何回も引ける。

 しばらくは自転車で十分だ。