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コムギココメコ

忘れてもいいことを書くので不備忘録

読書感想文その2

お元気ですか?

 

 前回のブログで9月に読んだ本について、2冊感想を書いた。今回は残りの4冊について感想を書いていく事にする。ちなみに敬称略である。

 

筒井康隆『創作の極意と掟』(講談社)

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 やっと買うことができた。どこの本屋にも売ってなく、図書館にも置いていない。Amazonで買えば解決するのだが、どうしても本屋で見つけたいという変なプライドが邪魔し、忘れつつあった。しかし、東京に行ったついでに寄った、新宿の大きい本屋でたまたま見つける。こういう時の感動はものすごいものがある。見つからなかった本に出会う時の感動こそ、本屋で本を買う理由の1つかもしれない。

 様々な項目があり、1つ1つの項目は筒井康隆の項目に関する考えと、項目を満たしている小説の紹介等で成り立っている。項目も普通の御作法本ではなさそうなものがちらほら見受けられた(「薬物」など)。また、紹介されている小説もかなり多く、それらを読んでみるのも楽しみ方の1つだと思う。

 『創作の極意と掟』と書かれているので、よくある小説の御作法本と思っていると肩透かしを食らうかもしれない。筒井康隆は「小説は何を書いてもいいジャンルである」と述べている。よってこの本から何かを得てやろうと意気込んで読むよりは、エッセイとして読んだ方がいいのかもしれない。

 この本を読むと、小説を書きたくなるのは間違いないだろう。私も読んでからいくつか小説を書いた。

 

安部公房砂の女』 (新潮文庫)

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 安部公房。個人的に、威圧感のある作家TOP5に入る。割と名前だけで敬遠されているような気がする。私も買ったはいいが、1年近く読むのをためらっていた。

 この作品はおそらく、安部公房の作品の中で一番有名だろう。ある日、1人の男が昆虫採集に出かけ、老人たちに半ば騙される形で砂の穴にある家に閉じ込められてしまう。そして何とか脱出しようと考える。

 この本での安部公房のすごさは、砂の描写が真に迫っているところだろう。読んでいると砂の無機質な恐怖が身体全体を包み込むような感覚になる。また、住民の不気味さの描写もさすがといった感じである。

 1つ言うならば、比喩表現が独特であり、また頻繁に出てくるため、合わない人はとことん合わないかもしれない。私もいくつかの比喩があまりピンとこなかった。それでも、読んでみる価値のある名作だと思う。

 

船山信次『<麻薬>のすべて』(講談社現代新書)

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 突然だが、麻薬には3つの種類があることは御存知だろうか? また、覚せい剤の生まれた国を御存知だろうか? この2つの答えが分からないのであれば、一読してみるといいかもしれない。

 この本では、ヘロイン、コカイン、覚せい剤LSDなど、様々な薬物の由来や歴史、身体的影響が書かれている。よく小中学校で薬物に関する話を先生や外部の講師からされるかもしれないが、それだけでは知識が不足していると、この本の内容を見ていると感じる。特に身体的依存と精神的依存は全ての薬物で一緒くたにして語られることが多いが、実際は薬物ごとに依存度も違うのだ。

 薬物の知識に関しては申し分なかったが、終盤、薬物以外の話が出てきたところは蛇足だったかなと思う。しかし、この本に載っている薬物の知識は、知っておいて損は無いだろう。

 

高橋源一郎優雅で感傷的な日本野球 』 (河出文庫)

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 「創作の極意と掟」で紹介されていたこの本。引用されていた部分に興味を惹かれ、図書館で借りることにした。今年読んだ本の中で一番衝撃を受けたかもしれない。まず、冒頭に書かれている猫の名前が「365日のおかず百科」という時点で、何者かに殴られた感覚に陥った。

 野球をテーマにした文章が全部で7つ書かれている。そこでは様々な分野が野球に結び付けられている。カフカライプニッツも、この本の中では野球に関わった人々になっている。そして阪神タイガースは、自由な発想のもと、様々な形で野球と関わっている。それは傍から見れば野球と関係ないかもしれないが。小説は、何を書いてもいいのだと改めて思える本である。もっと早く知っておくべきだった。自らの本の世界が狭いことを痛感させられる。

 熱狂的な阪神タイガースファンと、小説に教養を求める人は読まないほうがいいかもしれない(下ネタも多く含まれているし)。そうでなければ、この本を読んで見てほしい。小説の自由さに殴られること間違いなしだろう。

 

これで9月に読んだ本の感想は終わりである。10月も定期的に本を読んでいきたい。本を読むだけでなく、文章を書くことも定期的に行っていきたい。