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コムギココメコ

忘れてもいいことを書くので不備忘録

シュルジョシリスム。

「今日は何する? 何したい? 先週は爆撃やったじゃん? 今日は違う事やろうよ! 毒薬? ねえ毒薬とか良くない? 毒薬作ってみたくない?」
「なんでシリアス限定で事を進めたがるんですか。もうちょっと楽しいことをやりましょうよ」
「じゃあ豚肉に片栗粉まぶす」
「急に家庭的になりましたね」
 高校生! なんか色々やりたいお年頃だから色々やってみようと思って作ったのが○○○部ってわけ。○○○部の○○○には適当な単語を入れてその都度その都度やることをひょいひょいと変えるって寸法。寸法って使い方これであってるよね?
 今日は豚肉に片栗粉をまぶす部になりそう。ちなみに先週は爆撃部で、先々週はヒートテック部で、先々々週は1984年部だったかな。
「じゃあ今日は豚肉に片栗粉まぶす部で決定ね?」
「別にいいですけど……」
 今別なんとかって言ってたのは友達のミヅキ。○○○部のメンバー。本名は忘れちゃった。ぼんやりした本名だった気がする。ちなみに私の本名はパネ子。
「じゃあ決定! 防災無線美もそれで良い?」
「ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……。こちらはちらはちらは、防災防災防災、無線美です美です美です……。豚肉に豚肉に豚肉に、片栗粉を栗粉を栗粉を、まぶす部です部です部で、良いと思います思います思います。ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……」
 この防災無線みたいな喋り方をするのが防災無線美。この3人で○○○部として活動してる。ちなみに○○○部は非公認だから、部室なんてものは無い。今この空間が○○○部の部室なのだ。カッコいい!!
 というわけで放課後になった。今から豚肉に片栗粉をまぶす部が活動しますよ! とりあえず豚肉と片栗粉を調達しなければ。
「豚肉と片栗粉ってどこかにないの?」
「それなら、豚肉部と片栗粉部に聞いてみるのが1番手っ取り早いと思いますが」
「そんな部活あるの!?」
「非公認ですけどね」
 近頃の高校はすごいね。何でも部活にしちゃうんだもん。
「じゃあ、行ってみようか。私は豚肉部に行ってくるから、ミヅキと防災無線美は片栗粉部に行ってきて! あ、でも非公認だからどこに行けばいいのか分からないや」
「うろうろしてればいつか見つかると思いますよ」
「そっか!」
 私は2人と別れて適当に学校をうろうろした。うろうろ。うろうろうろ。うろうろうろうろ。見つけた! 豚肉をカゴいっぱいに持っている生徒。おそらく豚肉部の部員に違いない。
「すいませーん! 豚肉部ですか?」
「はい、そうですけど」
「豚肉貰えませんか?」
「いいですけど」
 というわけで豚肉をゲット! 豚肉部は気前がいいね。適当にお礼を言った後、上の階から声が聞こえてきた。
「ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……。こちらはちらはちらは、防災防災防災、無線美です美です美です……。片栗粉を栗粉を栗粉を、いただけないでしょうかないでしょうかないでしょうか。ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……」
 一瞬の沈黙。
「ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……。こちらはちらはちらは、防災防災防災、無線美です美です美です……。ありがとうがとうがとう、ございますいますいます。ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……」
 どうやら上手くいったようだ。
 教室に戻って2人と合流し、結果を報告し合った。
「豚肉部から豚肉1キロ貰ってきたよ!」
「こっちも片栗粉部から片栗粉を1キロ貰ってきましたよ」
「じゃあ早速豚肉に片栗粉をまぶそうよ!」
 教壇の上に豚肉を置き、片栗粉をまぶす。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。あっという間に教壇は片栗粉まみれだ。綺麗。
「トレーを持ってくるべきでしたね」
「えー! 先生が怖いのかよー!! 風情あっていーじゃん!」
「面倒事になるのが嫌なだけです。しょうがないので、トレー部からトレーを借りてきます」
「うちの学校、本当に何でもあるのな」
 ミヅキが廊下に出て行き数分後、トレーを持ってやってきた。これで準備万端だ。
 3人で豚肉を手に持ち、片栗粉をまぶしていく。パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ……
「1回声に出してみようよ」
「何でですか」
「理由なんてないよ、いいからやろうよ! パタパタパタパタパタパタパタパタパタ」
「分かりましたよ……。パタパタパタパタパタパタパタパタパタ」
「こちらはちらはちらは、防災防災防災、無線美です美です美です……。パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ。ピンポンパンポンピンポンパンポンピンポンパンポン……」
「疲れるからやめようか」
「そうですね」
 それから30分くらいずっと豚肉を片栗粉にまぶしていた。最後の1枚がまぶし終わるときには私は完全に飽きていて、机のまわりをひたすらぐるぐる回っていた。
「終わりましたよ」
「終わった? じゃあ今日の豚肉に片栗粉をまぶす部はおしまい! 帰ろ帰ろ!」
「この豚肉と片栗粉はどうするんですか? 明日他の人が見たら奇妙な事件だと思われますよ」
「片栗粉をまぶした豚肉を処理する部とかに頼めばいいんじゃない?」
「その手がありましたね。早速呼んできますね」
「本当にあるのかよ」