読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

コムギココメコ

忘れてもいいことを書くので不備忘録

読書感想文その9

 世間では2月も中盤を迎え、野球であればだいたい5回あたりでそろそろ投手の交代を考え始める頃合いである。しかし、私の読書感想文に関しては、まだ12月に入ったばかりで、2016年という試合はまだ開始してすらいない。
 12月は3冊しか本が読めなかったので、今回で一気に書き上げてしまおう。ちなみに今年は80冊本を読もうと目標を立てているのだが、まだ4冊しか読めていない。80分の4。約分すると20分の1になり、パーセンテージ化すると5%である。5%というとビールのアルコール度数くらいだろうか。ビールくらいしか読めていないのだ。早くワイン並みの読書に辿り着きたいものだ。

 

穂村弘『絶叫委員会』(ちくま文庫)

f:id:komugikokomeko:20160215202242j:plain

 

 去年の秋頃から、短歌を作るようになった。その頃は、教科書で習った短歌などほとんど忘れているし、歌人で知っている人と言えば、石川啄木俵万智といった一般的に見ても超有名な人しか分からなかった。そこで、現在どんな短歌が読まれているのか調べたところ、穂村弘という人物が存在して、しかも私の心にヒットした。ヒットした短歌は以下の二つである。

 

終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて
「人類の恋愛史上かつてないほどダーティな反則じゃない?」

 

 こういうのも短歌というのかと、軽くショックを覚えたものである。知らない世界に関してはどうも偏見が入ってしまってよくない。確かに五七五七七という制約はあるものの(この制約も厳しいものではない)、基本的には自由な表現方法であるという事を思い知らされるきっかけになったのである。
 穂村氏の短歌をもう少し呼んでみようと思って図書館に行ったのだが、エッセイ集しか置いていなかったので、穂村氏の作品で本になっている物を読むのは、『絶叫委員会』が初めてである。
 まず、『絶叫委員会』というタイトルが好きだ。「絶叫」+「委員会」というのはなかなか考えつかない。まず、絶叫が委員会として組織化されているなんて、日常生活では頭をよぎることもない。
 単語と単語の組み合わせというのはかなり自由で、そこから何が生み出されるか、想像できるかという話はかなり楽しい。単語の組み合わせ次第では、現実を飛び越えるものにもなり得るので、私も暇な時に紙切れに書いて遊んだりする。
 穂村氏はかなり日常にあふれる言葉をちゃんと見て、良し悪しはともかく大切にする人物なんだなというのが文章から分かる。普段聞き流したり、そもそも耳を通りぬけてしまったり、目に入っているけどただの記号としてしか認識できない言葉を拾い上げる。そして、疑問をもったり、想像してみたり、良いなとしみじみ思ったりする。特に「インフルエンザ防御スーツ」は面白いけど見逃しがちな言葉だよなと思った。
 この本を読んだ後、あなたは日常にある言葉にもっと目を向けて想像したくなるはずだ。

 

筒井康隆『笑犬樓の逆襲』(新潮文庫)

f:id:komugikokomeko:20160215202301j:plain


 筒井康隆のエッセイ集である。断筆解除後に書かれたもので、断筆中や断筆解除後に筒井氏のまわりで起こった出来事や社会的な事件や情勢について書かれたものである。
 読んでいて、やはり批判や反論を書かせたらこの人の右に出るものはいないのではと思えるほど、切れ味があり、読んでいて面白い。普通、個人の作品等について批判され、それに反論しようとすると、私怨ダラダラでドロドロの文章になってしまい、とても読めたものではないだろう。Twitterやブログに書かれた反論は、長すぎるわ私怨が大量に含まれていて読みづらいわ、単に面白くないわでどうしようもない。その点、原稿の都合もあるが、短く、しかも面白い筒井氏の反論は、結構貴重なものかもしれない。
 エッセイを読んでいると、美味そうな物を食べているなと、羨ましくなってしまう。文中にしばしば金が無い金が無いと書かれているが、やっぱり美味しいものが食べられるほどの財力があるんだなと思う。
 個人的には海外で浣腸を買う話が面白かった。エッセイとしてもオススメ、執筆当時の社会の空気を感じたい方にもおすすめ、海外の浣腸は一体どういう物なのか知りたい方にもオススメの1冊である。

 

穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ) 』(小学館文庫)

f:id:komugikokomeko:20160215202309j:plain


 穂村氏の短歌にショックを受けたという話は、『絶叫委員会』の項目で書いた。次こそは短歌を詠みたいぞと、住んでいる場所で1番大きい本屋に行き、『手紙魔まみ、夏の引越し』があったので購入した。
 結論から言うと、短歌集との初邂逅でこの作品を選ぶべきではなかったかもしれないと思った。短歌とは何か触れるために選んだ結果、短歌そのものが分からなくなってしまった。分からなくなった結果、もっと知りたいと思うようになったので結果オーライだが。
 あとがきにも、「穂村氏の作品は好きだが、この作品には引いた」「この作品だけは好き」という旨の対照的な感想が紹介されている。面白い。面白いけども、短歌とは何かガチガチに固定している人が読むと拒絶反応を示す可能性があると思う。
 好きな短歌は以下の通り。

 

不思議だわ。あなたがギターじゃないなんて、それはピックじゃなくて舌なの?
誕生日は炎の儀式。いい? いくよ? はーいーかーつーりょおおお、ふううううう

 

 イラストは幻想的でかつエロティックなので、あまり公の場で読むと変な目で見られるかもしれない。短歌集自体がある種の幻想的世界観を構築していると思うので、イラスト自体は合っていると思うが。
 短歌をよく知らない人に詠んでもらうとどんな反応をするか気になる所である。私はとてもビックリしたよ。

 

 やっと2016年の読書感想文を書くことができた。2016年も本を読んでいくぞ。終わるぞ。