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備忘録と不備忘録を行ったり来たり

大富豪の戦略:大貧民を回避するために

【はじめに】

 皆さんは普段トランプを使って遊ぶだろうか?

 そもそもトランプを皆さんは知っているのだろうか。簡単に説明すると、紙切れの可能性だ。紙切れに絵柄と数字をつけるだけで沢山の遊びが生み出される。ババ抜き、七並べなど、メジャーなゲームがトランプ出身である。

 トランプ所属のゲームの1つに、大富豪というゲームが存在する。簡単に言うと、大富豪は配られたカードを早く使い切った人が勝ちという単純なゲームだ。

 しかし、札には強さが決められているし、特殊札も存在する。そこに配られた手札という運要素も入ってくる。

 そして、大富豪が他のトランプゲームと異なる所は、前に行われたゲームの順位によって手札の交換が行われることである。

 一般的に、5人で大富豪を行った場合、1番最初にあがった人が大富豪、2位が富豪、3位が平民、4位が貧民、5位が大貧民である。次のゲーム時に、全員仕切り直しにならずに、貧民は1枚、大貧民は2枚強いカードを渡さなければならない。そして、富豪は1枚、大富豪は2枚いらないカードをそれぞれ貧民、大貧民に押し付けることができる。これによって、ゲーム開始前から格差が生まれるのだ。まさに社会である。ちなみに平民はその時間、のんびりすることになる。

 それぞれの身分でプレイする人々は、強いカードでぐいぐいパワープレイをしたり、手札の中から最強カードを温存したりなど、手札に応じた戦い方をしていく事になる。

 友人などと大富豪をすると、常時上の身分にいるプレイヤーと、基本的に下の身分にいるプレイヤーがはっきりすることがある。これはなぜか。もちろんルール上、下の身分の人はなかなか上に這い上がるのが難しいゲームではあるが、それだけではない。

 大富豪の戦い方を知らないのだ。

 大富豪は適当にカードを出していれば勝てるゲームではない。ある程度戦略をたてなければ大貧民に甘んじてしまう。

 私は、大富豪を時々友人とプレイするのだが、負けず嫌いであるため、大貧民はどうしても避けたい。

 勝つためにはどうすればいいのか、暇な時に戦略を考えた結果、大富豪になるのは運要素が強いが、大貧民を回避するのはある程度可能だという結論に至った。

 今回は大富豪で大貧民の回数が多い人たちに向けて、大富豪で大貧民回避の確率を上げる方法を伝授したいと思う。これらの方法は、大富豪が強い人々ならば当たり前と思うかもしれない。しかし大富豪は所詮遊びなので、意外に適当にプレイする人も多いのが事実だろう。今回の大富豪戦略論は負けず嫌いの大富豪ビギナー、大富豪でなかなか勝てない人々向けにお送りする。戦略論を読んで実践した結果、大富豪で勝って、枕を高くして眠っていただきたい。最近生活リズムが不安定で寝つきが悪い。

※その1は大富豪のルールについて説明するので、分かっている人はその2まで飛ばしていただいて結構である。 

 

その1 大富豪のルール

1-1 大富豪の進め方  

まず、大富豪はどうやって始まるのかを書いていく。今回は5人プレイという前提で話を進めていく。

【ざっくりとした大富豪の進め方】

①カードをランダムに配る

②ダイヤの3を持っている人から場にカードを出していく。全てカードを使い切った人はアガリ

③残り1人になるまで場にカードを出し続ける

③①を行ったあと、前回の順位をもとにカードの交換を行う

 このような形になる。カードの交換は先ほど説明したのでスルー。

 カードもただやみくもに出せるわけではない。きちんと強さが存在する。大富豪は、場に出ているカードより強いカードしか出せないのだ。

 

カードの強さ

3→4→5→6→7→8→9→10→J→Q→K→A→2→ジョーカー

 

 場にあるカードより強いカードを出せない(出さない)人は「パス」を宣言する。直前にカードを出した人以外がパスを宣言した時、カードは流れ、直前にカードを出した人が自由に手札からカードを場に出すことができる。

 つまり、「カードを出す→直前に出した人以外がパスを宣言→直前に出した人が新たにカードを出す」の繰り返しである。

 これだけでは手札が強い人がそのまま勝つだけの虐殺大会になってしまう。そのため、大富豪にはいくつか特殊な札が存在する。遊戯王の効果みたいなものを想像していただければ当たっていると思う。次に、特殊札について説明していく。

 

1-2 特殊札

 大富豪には特殊札がいくつか存在するが、ローカルルールまで含めると数が多くなってしまい、現在の遊戯王よろしく効果モンスターじゃないほうが少数派という状況になりかねない。そのため、今回は日本大富豪連盟が採用している特殊札を紹介する。何にでも連盟や協会はあるんだね。

 

①8切り(やぎり、はちぎり)

対象カード:8

効果:8と名のつくカードを場に出した時、場を強制的に流し、新しくカードを出すことができる。

 強制リセットカードである。流れが誰か1人に傾いている時、仕切り直しをして自分の戦い方に持っていきたい時、最後のとどめで使われる場合が多い。よく見る黄金パターンとして、「2もしくはジョーカー→8→適当なカードでアガリ」が挙げられる。効果的に使うと強いカードだが、いかんせんカード自体の強さは微妙である。

 

②革命

対象カード:同じ数字4枚(ジョーカーで代用可能)

効果:このカードを出した時、カードの強さを逆転させる(ただしジョーカーは最強で変わらず)。

 切り札になりえる特殊札である。ゲームを乱すことができるし、強いカードが軒並み紙くずになるため、強いカードを温存する戦法の人に対して大ダメージを与えることができる。原則は4枚だが、「同じカード4枚+ジョーカー」の5枚革命も可能である。

 また、同一ターンに革命で使われたカードより強い、同じ数字のカード4枚を場に出すことで、革命を無効化することができる。革命時は強さが反対になっているため、革命返しをするときは以下の点に注意する必要がある※。

9を4枚で革命→5を4枚で革命返し:〇

9を4枚で革命→10を4枚で革命返し:×

 ちなみに、5枚革命時は、革命返しも5枚である必要がある。

※この点は結構やるメンツによって違うため、確認をしっかりとしておくこと。もめる原因になる。

 

③スペ3・スペ3返し(スペさん・スペさんかえし)

対象カード:スペードの3

効果:他のプレイヤーがジョーカーを単独で出した時このカードを出すと、場を流す。

 ジョーカーは最強であるが、単独であれば唯一スペードの3はジョーカーに勝つことができる。しかし、スペ3ルールが採用されている場合は相手も警戒するため、ジョーカーを単独で出さなくなる場合も多い。

 

④スート縛り

対象カード:場に出ているカードと同じスート(ハート、ダイヤ、クラブ、スペード)のカード

効果:直前に場に出たカードと同じスートのカードを出すことで、そのターン中は同じスートのカードしか出すことができなくなる。

 スート縛りは結構勝敗を左右してくる。残り2人でのタイマンになった時、スート縛りをすると出せるカードがかなり制限されるためだ。同じスートを温存している人はほとんどいないため、スート縛りをすると案外弱いカードでも勝てたりする。逆パターンも存在する。

 ちなみに、2枚カードを出した時にスート縛りが適応されるルールもある。

(例)6のハート、スペード→9のハート、スペード:以降ハート・スペ―ドのダブル(2枚同時)しか出せない

 トリプルも同じである。今回はこのルールを採用していく。実際にプレイするときはあらかじめ決めておくと良い。

 

 以上が特殊札である。これらを使う事で、運が良ければ貧民や大貧民も上位に食い込むことが可能になってくる。

 

1-3 その他のルール

①ジョーカーの扱い

 大富豪は、ジョーカーを2枚使用する(場合が多い)のだが、ジョーカーの役割は主に2つある。

 1つ目は単純に最強のカードという使い方だ。どのカードよりも強い。ジョーカーを2枚出すという、最強と最強の組み合わせに出くわした日にはもう、打つ手はない。しかし単独のジョーカーは前述したように、スペードの3で殺されてしまうため、序盤は出しづらいのも事実である。

 2つ目はあるカードを代用するやくわりである。例えば、J2枚とジョーカーを出した時、扱いはJ3枚になる。これを使って、ダブルをトリプルにしたり、トリプルを革命にすることができる。使い方としてはこちらのほうが主流のように感じられる。

 

②反則あがり

 大富豪には「特定のカードであがってはいけない」というルールがある。特定のカードは8、2、ジョーカーである(ただし、革命時は2の代わりに3が適用される)。反則上がりをしたプレイヤーは強制的に大貧民になってしまう。終盤で手札をやみくもに消費すると、反則上がりになるカードしか残っていない場合もあるため、しっかり確認する必要がある。また、ジョーカーを含めたカードでのあがり(J2枚+ジョーカーなど)も反則上がりになるため注意が必要である。

 

都落ち(みやこおち)

 1番厄介なルールは都落ちだろう。これは、大富豪以外のプレイヤーが1番にあがった場合、その時点で大富豪の人は強制的にゲームを終了し、大貧民になるというルールだ。このルールが適用されている時、大富豪にならずに富豪を維持するという戦法を取る人も出てくるほどだ。まあ、このルールがないと、ゲームの性質上地位の変化がなかなか起こらなくなるためしょうがないのかもしれない。

 

※※※飛ばした方はここで徐行してください。※※※

 

その2 大富豪の戦略

 やっと本題である。ここでは大富豪の戦略について説明していく。戦略の目指すところは、「都落ち以外で大貧民をできるだけ回避するには」である。大富豪をとるには正直半分以上運が絡んでくるため狙うのは難しいが、大貧民を回避するのはある程度までなら可能である。今回は大貧民回避の可能性を高める方法を教えていく。

 ルールとしては、「5人プレイ、8切り、革命、スペ3、スート縛り、都落ちあり」で今回は統一する。それ以外のルールが入ると説明が複雑になるし、ローカルルールが多すぎて私自身も把握しきれていない。

※カードの説明について

2枚カードを持っている時:A×2、6×2など

スートを表記するとき:ハート→H、ダイヤ→D、クラブ→C、スペード→S、

以上の表記を使用する場合があるので、ご了承いただきたい。

 

Aと2、ジョーカーが捨てられた枚数を把握する

 大富豪で安定した成績を残すために必要なのは「捨て札の把握」だと私は考えている。大富豪ではカードをどのように出してあがるのかばかり考える人が多いように思える。しかし、相手の状況を見て臨機応変に対応していかなければならないため、最初から流れを決めて捨てるのは少々リスキーである。

 カードの出し方よりも、捨て札を把握することのほうが重要だ。とはいっても全部の捨て札を覚えることは不可能に近い。そのため、頭に入れておくのは「A、2、ジョーカーの捨てられた枚数」だけで良い。

 A、2、ジョーカーの捨てられた枚数をなぜ覚える必要があるのか。理由は単純で、強いカードだからである。強いカードがどれだけ捨てられたかによって、勝負をかけるかカードを温存しておくかが把握できるようになる。

 例えば自分がカードを自由に出せる時に、K×2、8、3を持っていたとしよう。捨て札を把握しておかないと、K×2は相手プレイヤーに返されるかどうかが分からない。しかし、Aが3枚、2が4枚、ジョーカーが2枚捨てられていると分かれば、K×2を確実に相手は返せないため、出すことができる。

 捨て札の把握は、手札が少なくなってきた時に役立ってくる。大体のプレイヤーは、手札の中で1番強いカードを温存しておくため、強いカードの捨て札を知っておくことで、押し引きがしやすくなる。「相手が強いカードをほとんど出していないから、まだ勝負するのは早いな」「相手が自分の切り札より強いカードを持っていないぞ、勝負しよう」。色々考えることができるようになる。

 相手が何のカードを持っているか1つも把握できていないまま勝負する場合と、相手が何のカードを持っているかある程度把握している状態で勝負する場合、どちらが勝つ可能性が高いかは言うまでもないだろう。

 革命をされた場合、この戦略は役に立たなくなるが、3や4の捨てられた枚数まで把握するのはなかなか難しいため、後述する「1、2番目に弱いカードは序盤残しておく」を参考にしていただきたい。 

 

初期手札のA、2、ジョーカーの数を確認しておく

 捨て札を覚えるのと同じように、最初に配られた手札もしっかり確認しておく必要がある。重要なヒントが隠されていることもあるからだ。特にA、2、ジョーカーの数はしっかり把握しておきたい。当たり前ではあるが、自分が何枚かカードを持っているという事は、相手側は持っていないことになる。例えばにA×3や2×3を所持している場合、相手は1枚しか同カードを持っていないことが分かるため、自分が強いカードを出した時に場が流れやすい。

 つまり自分が持っているA、2を出した時、相手に返される危険性がある程度把握できるようになるのだ。カードの強さを前面に押し出したパワープレイをしたほうがいいのか、それともカードを温存して中~終盤あたりに攻めたほうが良いのかという状況判断ができる。

 

序盤は1、2番目に弱いカードを残す(8、A、2、ジョーカーのいずれかを持っている場合)

 強いカードを温存しておく上で1番怖いのが革命である。強いカードたちが一瞬にして紙くずに変わってしまう。

 このような状況に対処するために、手札の中で1、2番目に弱いカードは序盤残しておきたい。弱いカードから捨てたくなるのは分かるのだが、革命を起こされたときにお手上げ状態になる。まず、序盤に7~Jあたりのカードを捨てる事を優先したい。これらのカードは通常時、革命時の両方で微妙なカードだからだ。

 気を付けてほしいのは、この方法は8、A、2、ジョーカーなど、場を流す可能性の高いカードを持っている場合のみ採用すべきということだ。大貧民かつ8を持っていない場合、革命対策で弱いカードを温存するとさばききれなくなる可能性が高いからだ。弱いカードを積極的に捨てたほうがあがる可能性が高くなる。

 

相手のカード枚数を確認しておく

 上3つより優先度は下がるが、できれば相手のカード枚数は確認しておきたい。例えば、残り枚数が4枚以下のプレイヤーが場を流し、強いカード(K~ジョーカー)を出してきた場合、勝負を決めにきた可能性が極めて高い。パスをすればおそらく、8切りを使ってあがることだろう。

 逆のパターンとして、残り枚数が4枚以下のプレイヤーが極端に弱いカード(3~6)を出してきた場合は、強いカードを温存している確率が高い。スート縛りなどをして相手を制限したい場面だ。

 他にも、残り枚数が10枚近くあるのにあるプレイヤーが強いカード(Aや2)を惜しげもなく使ってきた場合、革命をする可能性が高い。

 このように、カード枚数によって相手の行動はある程度パターン化される。ぼーっとしていると、相手を妨害できるチャンスがあったのにスルーしてしまうだろう。相手の残り枚数を確認して、妨害しなければあがってしまうタイミングを見極め、自分の手札と相談しながら妨害するか否か考えなければならない。

 

「Aと2、ジョーカーが捨てられた枚数を把握する」「初期手札のA、2、ジョーカーの数を確認しておく」「序盤は1、2番目に弱いカードを残す(8、A、2、ジョーカーのいずれかを持っている場合)」「相手のカード枚数を確認しておく」の4つを心がけることで、おそらく大貧民回避率は上がるだろう。あとは実践の中で押し引きについて考えながらプレイすることで、安定した成績を残せるようになる。

  

その2.5 番外編

【8切りの有用性について】

 大富豪で滅茶苦茶見る光景として、「強いカードをだす→8切り→任意のカード」であがるパターンがあげられる。自分も割と使うパターンなのだが、この戦い方は果たして意味があるのだろうか。強いカードが必ず通る事が分かっていれば、8切りを挟む必要がない。しかし、終盤の手札に8はひそんでいることが多い。

 私が考えるのは、私を含めて、大富豪のプレイヤーは8切りを使いこなせていないのでは、ということだ。

 いかんせん8という数字は微妙な強さである。中の下あたりの強さレベルでは、なかなか出しづらいというのが現状である。確かに場を強制的に流す能力は魅力的ではあるが、8切りをしても意味のない場面で弱いカードが場に出て、8切りをしたい場面ではなかなか出てこない。スート縛りがあるならなおさら出しにくい。

 その結果、8は温存せざるをえなくなり、最後から2番目に出すことになる。

 この状況を打破する方法を考えてはいるが、なかなか難しい。打破するくらいなら、状況を逆手に取って戦うといいのかもしれない。

 例えば相手が強いカードを出した時に残り2枚だったとする。この時自分は返すことができて、しかもまだ8切りが出ていない、自分が8をもとから持っていない状況であれば、残り2枚の相手が8を持っている可能性は高い。8以上を出すか、ダブルで出せば相手を完封できる。

 しかし、この戦法は早めに7以下のシングルを出し切ってしまう必要がある。7以下を早く出せるかは正直運要素が絡むため、完全な戦法は言い難い。

「運」という要素は大富豪を難しく、そして面白くしているのではあるが。

 

【おわりに】

 大富豪は「運」「状況判断」のゲームである。そこに捨て札という情報がプレイヤーに提供される。

 同じようなゲームとして麻雀がある。麻雀も「運」「状況判断」が重要であり、牌が捨てられる河という情報がプレイヤーに提供される。

 麻雀はかなり戦略がネットや本という形で人々に向けて発信され、またプロの雀士も存在する。しかし、大富豪はなかなか戦略が人々に向けて発信されることがなく、プロのプレイヤーも存在しない。

 それならば、私が戦略論を書いてみようと思い、今回ブログにアップさせていただいた。他の大富豪好きの方々にも、何らかの形(ブログ、Twitterなど)で戦略を書いてもらえればと思う。

 この戦略論を参考にして各自戦法を考え、充実した大富豪ライフを送っていただければ幸いである。