コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

恐怖の透明感

 よく飲み物を買う。

 いつも飲み物を持ち歩いていないと、不安になるのだ。喉が渇いたときに飲み物が無いだけで、干乾びて死んでしまうような感覚になる。早く飲み物を買わないと干物になって焼かれてしまう。いそいそとコンビニか自動販売機へ向かうことになる。

 飲み物の存在を忘れるほど何かに熱中している時は構わないが、気が付いてしまうと大変だ。思考は飲み物のことでいっぱいになる。そういった状況を防ぐためにバッグの中には大抵飲み物が入っている。

 この思考のせいで、飲み物代はかさむばかりだ。バッグに入った飲み物が少なくなってくると、新しい飲み物を買ってしまう。バッグはどんどん重くなる。ひどい時だと、飲み物を2つ持った状態でどこかに行き、目的地で飲み物を貰って3つ持ち歩くことになる。

 満タンのペットボトルAに半分ほど入ったペットボトルB、そして目的地で貰うペットボトルC。回復系の魔法しか使えないパーティだ。モンスターと出くわしても攻撃力が無いため、ジリ貧の戦いになりがちである。

 このブログを書いている今も、ポカリスエットと蓋つきの缶コーヒーが存在している。どちらも半分ほど入っている。ここまで来ると喉の渇き恐怖症とでも言えるのかもしれない。

 あまりジュースやコーヒーばかり飲んでいるのも健康に良くないと考え、最近はお茶を買うようになった。お茶は飲むとスッキリするので良い。他にスッキリできるものは麻薬ぐらいではないだろうか。

 コンビニやスーパーに、味付きの水が置かれていることが非常に多くなった。「いろはす みかん味」「ヨーグリーナ&南アルプス天然水」など様々な味付きの水が売られている。

 味付きの水が怖い。何で透明なのに味が付いているんだ。半透明くらいなら分かるけど、どうみても水と同じ透明さなのに味が付いている。恐ろしい。

 1回「いろはす みかん味」を飲んだことがある。水のように透明なのにオレンジの味がする。視覚と味覚が一致せず、脳が混乱する。子どもの頃オレンジ味の粉薬を水と一緒に飲んだ時の味がよみがえり、1口しか飲めなかった。

 その後、友人に「いろはすみかん味は味の産業廃棄物」と失言したところ、かなりの論争になった。それ以来、食べ物を批判する際の言い方は柔らかくなっている。産業廃棄物はさすがに言い過ぎだ。

 透明なものでも味がついている場合があると、かなり怖いことになる。お店に食べに行ったとき、目の前に注がれている水が本当に水なのか怪しくなる。もしかしたらみかん味やいちご味、トマト味かもしれない。今のところ水なので助かってはいるが分からない。

 透明な液体は無味であってほしい。炭酸水なら甘いのかなと想像がつくが、パッと見ただの水では味がついている想像がしにくい。いきなり味がやってきたら受け身も取れない。通り魔にあったのと同じだ。

 サイコパスは混入物への警戒心からか透明な水を選ぶ、と心理テストに書いてあった。知り合いにサイコパスがいないため、真偽のほどは定かではない。この文章を呼んでいる方のまわりにサイコパスがいたら是非聞いていただきたい。ちなみに私は色付きの水を選んだので心理テストによればサイコパスではないらしい。

 透明な液体でも味がついているのだから、サイコパスには生きづらい世の中になったものだ。サイコパスに幸あれ。