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好きなアルバム紹介その8『Since I Left You』

 音楽には様々な手法がある。様々な手法を駆使して様々なアルバムが世界中で作られている。様々なアルバムを様々な人間が購入もしくはレンタルする。アルバムを聞いた様々な人間は様々な評価を与える。世界は様々な様々であふれかえっているのだ。

 様々談義はさておき、今回の記事は好きなアルバム紹介第8弾である。今回紹介する様々分の1のアルバムは、The Avalanchesの『Since I Left You』である。

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 The AvalanchesはオーストラリアのDJグループで、1997年に活動を始めてからリリースしたアルバムはわずか2枚である。約20年で2枚なので、ペースとしてはかなりゆっくりである。20年で2枚だから、10年に1枚くらいのペースでリリースしているのかと思いきやそうではなく、今回紹介するアルバムが1stで2000年リリース、2ndは2016年リリースと1stと2ndの間で実に16年が経過している。2000年に生まれた子供は工業高校に通っているだろう(諸説あり)。

 このグループの最大の武器はサンプリングである。サンプリングについてザックリ説明しておくと、既存の曲の一部を引用して、新しい曲を作ることである。楽器や世界にあふれている音をサンプラーなどで録音し、曲に組み込むことも同じくサンプリングという。このグループのサンプリングは前者である。この技法はヒップホップの曲などで使われていることが多く、このグループもWikipediaではヒップホップにカテゴライズされている。

 サンプリングって他の曲から引用しているんだから、簡単に作れるんじゃないかと思うかもしれない。実は逆で、そのまま使えば既存曲と何ら変わらないし、サンプリングを多用すると曲としてまとまらなくなってしまう。1つの曲にサンプリングを多く使用すればするほど、どの部分を引用してどこに張り付けていくかという細々とした編集を延々と行わなければならないので、かなり根気のいる作業と言える。

 このグループはサンプリングを武器にしていると上で述べたが、その集大成こそがこのアルバムなのだ。全曲がサンプリングで構成されている。先述した「かなり根気のいる作業」を行ったのだ。

 全曲サンプリングのアルバム、パッと見かなり癖が強いのではと思うかもしれない。しかしこのアルバムはポップで楽しい。いろいろな曲や音があちこちに詰まっているため、聴くたびに発見があり、何回聴いても飽きない。かなり強いアルバムなのでは?

 そんな強いアルバムを発見するのにかなり時間がかかってしまった。なぜ誰も教えてくれなかった? 家にある手首全部切りました......。

 好きな曲を紹介していこう。アルバムの中で1番好きな曲は「Frontier Psychiatrist」である。これはPVもサンプリングを上手く表現していてしかも面白いのでぜひ見てほしい。

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 ちなみにこの曲のサンプリング元は以下の動画で紹介されている。様々な音源を組み合わせて上のような曲が作れるのは神業と言って過言ではない。

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 サンプリングで構成されたおもちゃ箱のようなアルバムを出したこのグループは、そのまま沈黙していくのかと思いきや、今年2ndアルバムをリリースした。こちらはまだ入手できていないので、早く購入もしくはレンタルをしたい。

 是非このアルバムを一聴してもらいたい。様々な音が飛び交い、予測のできない楽しさを味わうことができるだろう。

 

【トラックリスト】

1.Since I Left You
2.Stay Another Season
3.Radio
4.Two Hearts In 3/4 Time
5.Avalanche Rock
6.Flight Tonight
7.Close To You
8.Diners Only
9.A Different Feeling
10.Electricity
11.Tonight May Have To Last Me All My Life
12.Pablo's Cruise
13.Frontier Psychiatrist
14.Etoh
15.Summer Crane
16.Little Journey
17.Live At Dominoes
18.Extra Kings

 

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