大体2週間ぶりの短歌のお時間である。6月中旬~下旬にかけての十首である。
短歌を並べていくと、なんとなくこのときの精神状態が分かってくる。この時期の十首のほうがやれ墓石だの、自殺装置だの、殺すだの、物騒な単語が多く、ダウナーな短歌になっている。また、地方都市という舞台を短歌に反映させたいなと強く思っていた時期でもある。背景である。
【371~380】
ああ俺は夢の中でも半額のパック寿司を嬉しそうに買う
日曜のBOOKOFFにて人々は墓石(ぼせき)のようにただ立ち尽くす
また1つ自殺装置が作られた都市で今日もまだ死なないでおく
革命のしおりに付け足してください「多めに靴下を用意する」
中吊りの健康特集見る僕は血栓として地下鉄にいる
夏というものが昔はあったのか 博物館の麦わら帽子
難しい顔をしている先生が真っ先に見る校庭の犬
ああ叔父は死語の遺骨を大切に抱きしめながら生きるのだろう
脳に住む画家なら黒いキャンパスで朝方俺を殺す絵を描く
ピチカート・ファイヴにデートもしないでと急かされながらイオンモールへ
次回もよろしくお願いします。