コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

私のための文フリ講座②(文フリ前日~当日)

 今回も文フリの話をします。今では遠い昔のことのように感じられます。

 

 前回、文フリに出るまでの流れについて書いた。今回は文フリ前日からの流れについて説明していくことにする。これを読むことで、今後文フリに初めて参加する際、どういう風に動けばいいのかが大体分かるシステムになっている。失敗談も書いていくので、皆さんは回避していきましょう。

 前回は、申込、印刷などについて話している。

komugikokomeko.hatenablog.com

 

【文フリ1週間前~2日前】

 どうにか入稿も終わり、印刷代の支払いも済ませた。しかし、文フリでは用意すべきものがいくつかある。手ぶらで行くと、大体厳しい思いをして帰ることになる。準備をする必要があるのだ。

 以下に準備しておくといいものをまとめておく。

①お釣り

 同人誌即売会では必ず必要になってくるものである。お釣りを用意しておかないと、買ったときにお釣りを渡すことができず、釣りはいらねえ状態を強制させることになり、買ったお客さんは悲しみになってしまうだろう。

 どの種類のお金を用意すればいいかは、自分が出す本によって変わってくる。500円で売るのであれば、お釣りに100円を用意する必要が無くなる。逆に321円で売る場合は、全種類の小銭が必要になってくる。

 枚数は使う種類の小銭×20枚あれば十分だが、文フリで本を売るのはなかなか難しい。この点は後述する。多ければ多いほど安心感は増すだろう。

 昼間仕事をしている人は、なかなか銀行に両替しにいけないため、日ごろから小銭をためておく、休憩時に銀行に行く、労働を辞めるなどの選択が求められる。

 

②敷布

 文フリの机はよくある木の長机である。素材そのままだと、少し見栄えが悪い。そこで、テーブルクロスなどの敷布があると良い。1ブースは横90㎝×縦45㎝×高さ70cmなので、できれば横は90cmが望ましい。縦は45cm以上あればどれくらい長くても良い。長机の下は丸見えなので、荷物などが見えてしまい、ごちゃごちゃした印象を与える場合がある。長机の下が隠れるくらいだと見栄えが良くなる。

 色は何色でも構わないが、あまり濃い色だと本が目立たなくなる危険性がある。薄めの色が良いだろう。

 

③POP

 本をブースに並べたときに、どういうタイトルで値段はどれくらいなのかが分からないと、とっつきにくいし、お金を払いづらくなる。そのため、POPを用意しておいたほうが良い、タイトルと値段などは最低限書いてあると親切である。

 また、小説など一定の量がある本は、中身が想像しにくくなる。そのため、少しだけ読んでも内容が全く分からない場合も多い。ジャンルとあらすじを書いたものを置いておくと、お客さんに対して親切だと思うし、見本誌を手に取りやすくなる。

 

④ポスター

 文フリを観察して思ったのが、お客さんは一定の速度でブースを見て回る。小さいPOPだけだと、あまり目につかない可能性がある。

 ポスターがあると、お客さんの目に留まる可能性が増える。A3のポスターをいくつか貼っておくだけでも、ある程度は変わってくると思う。

 また、長机の前に貼っておくことで、敷布の高さが足りなくても、ある程度ブースの足元が丸見えになるのを防ぐことができる。

 

⑤ブックスタンド

 本を平積みした場合と、縦に置いた場合では、お客さんからの見え方が変わってくる。平積みだとだいぶ近づかないと見えないが、ブックスタンドなどで立てかけた状態で置くと、少し離れていても目に留まるようになる。角度は意外に重要なのだ。

 

⑥見本誌

 文フリには見本誌コーナーが存在する。指定時間内に見本誌コーナーに本を置けば、多くの人が手に取ってくれる可能性が出てくる。文フリに行くと、見本誌コーナーに多くの人が集まっている。

 見本誌コーナーだけではなく、ブースにも1つ、見本誌を置いたほうが良い。お客さんが気になったとき、見本誌がないと読んでいいか迷ってしまうからだ。見本誌を置くことで、本をざっと読んでもらいやすくなり、買ってくれるお客さんも現れてくる。

 

 以上の6点が文フリに参加して、最低限あったほうが良いと感じたものである。

 

【文フリ前日】

 チェックリストを作り、用意するものをしっかりカバンなどに入れ、早く寝る!!

 私は用意できなかったものがあり、当日バタバタすることになった。

 

【文フリ当日】

 ここからは自分の感想が中心になってくる。

 当日、寝坊することなく目覚める。支度をし、POP用の画用紙を購入する。しっかり準備しておけばよかったと後悔する。

 電車に乗り、10時前に東京流通センターに到着する。ポスターの印刷をしに、近くのコンビニに向かうが、コピー機は結構な行列になっていた。列がスムーズに進むことを祈って、並び始める。しかし、列はなかなか動いてくれない。皆、文フリやその他のイベントで使う冊子などを印刷しているからだ。焦りから苛立ってきて、コピー機で動画でも見ているのではないかと勘ぐってしまう。10時過ぎにコピー機に並んで、コピーし終えたのは10時35分頃だった。

<教訓>印刷物は東京流通センターに着く前に全て済ませる

 

 サークルチケットをメンバーに渡し、急いで会場内に入る。自分のブースを見つけ、両隣のブースに挨拶をすませ、準備に取り掛かる。しかし、初めての参加だったので手間取る。その結果、開場時刻の11時になっても設営が完了しなかった。POPなども急いで書く。全てが慌ただしく動いていく。三四郎の漫才は(おそらく)計算されたガチャガチャ感だが、こっちは計算されていない、ただのガチャガチャだった。設営テクニックがなかったので、エナジーでごまかした。

<教訓>慌てず準備ができるように、時間に余裕をもって入場する

<教訓>POPなどは前日に作っておく

 

 開場と同時に人がわっと入ってくる。ゾンビ映画みたいだ。ロンドンゾンビ紀行は面白いのでお勧めです。私のサークルは、小説の合同誌と短歌集を頒布していた。

 1時間ほどして気づいたのだが、小説はなかなか手に取りづらい。短歌集は少し読むと自分の好みかどうかが薄ぼんやりと分かるが、小説、特に合同誌だと内容が掴みにくい。思い付きでどんな小説かをキーワードにして貼りだす。しかし、友人の小説はともかく、私の小説は「図書館は食虫植物だという主張をする首を吊られた男」「100回再翻訳をした文章」「遺灰投げを頑張る大学生」という、キーワードにしても全く内容を掴めない小説だったので、果たして意味があったのかどうかわからない。あらすじなどをまとめた冊子を見本誌の隣に置いておくと、とっつきやすくなるのかもしれない。

<教訓>小説は内容を提示するのが難しいため、対策を打ったほうが良い

 

 私は短歌集を15部、小説の合同誌を20部刷っていた。初めてにしては多く刷ったように見えるかもしれないが、小説に関しては友人たちから購入希望があったので、ほとんど売れなくてもある程度は捌けることが決定していた。持つべきものは友人と珪藻土バスマットである。

 正午あたりにフォロワーの方から差し入れをもらった。予想外の出来事だったので、言語野が破壊され、ア行しか話せなくなってしまった(お菓子、美味しかったです)。Twitterをやっていて、初めてプラスの出来事があった。7年間Twitterをやっているが、年々人間味が薄れているような気がしてならない。

 短歌集に関してはぽつぽつと売れていった。Twitterで流れていた短歌を見て購入してくださった方もいた。売れていくのを見るのはとても嬉しい。

 隣のサークルを見ると、かなり本の装丁を凝っているようだった。また、ブースのレイアウトもおしゃれだった。そういった努力もあってか、表紙に惹かれて見本誌を見ている人も多かったように思える。表紙は本の顔、ブースレイアウトはブースの顔なので、凝ったほうがお客さんを惹きつける力も強くなるのだろう。

<教訓>本の装丁(特に表紙)、ブースレイアウトは凝ったほうが目を引く

 

 店番を友人に任し、ブースを回る。お目当ての本はほとんど変えたので良かった。私は短歌が趣味であるため、短歌のブースを見る回数が多かったが、活気があった。

 全てのジャンルのブースを回ってみると、やはりブースレイアウトや表紙が凝っているところ、ポスターが目を引くところ、キャッチフレーズが秀逸なところはお客さんが見本誌を手に取っている回数が多かった。やはり、みんな顔が大事なのだ。

 友人たちに、先に昼食を食べに行ってもらい、友人´たちと再び店番をした。朝から何も食べていなかったので、お腹が減って死にそうだった。死んでいたのかもしれない。死んでいた。今も死んでいるようなきがする。生きる気が死んでいる。死ぬ気が死んでいる。死ぬ。その時は死んでいた。今日も死んでいる。明日も死ぬだろう。

 友人たちが帰ってきたので、友人´たちとカレーを食べに行った。前に文フリに行った時もカレーだった。インドカレーらしく、インド感があった。しかし、インドに行ったことが無いため、前と同じく、架空のインド感である。

 カレーを食べていると、私のところに人が尋ねてきた。ナイス害さんという、短歌(すごい)をやっている人だった。動揺したため、言語野が破壊され、ア行しか言えなかった。基本的に動揺するとア行しか喋れなくなる。社会が怖い。名刺をいただいたが、私には何も渡すものがないため、無を渡した。

 その後、ぽつぽつと短歌集は売れていったが、小説はほとんど売れなかった。

 17時になり、文フリが終了した、荷物を段ボールにまとめて、宅配便で送る。遠方から着ている人は、段ボールを用意しておくか、会場搬入であれば本の入った段ボール箱があるのでそれに荷物を入れるかして、持って帰る荷物を減らしておくといいだろう。

 片づけを終え、会場を出た。結果としては、文フリの会場で短歌が9部、小説が2部売れた。短歌は半分以上売れたため、予想より良かったが、小説は案の定苦戦した。友人たちに頼まれた分を抜くとほとんど本は捌けたのでとりあえず安心した。

<教訓>初めて参加する人は、当てがない限り、頒布部数は少ないほうがいい

<結論>色々失敗はあったが、本を手に取ってもらえるとかなり嬉しい

 

【終わりに】

 文フリにサークルとして参加してみると、結構バタバタしたり、苦労したりする場面が多い。初めて参加する方はなおさらだろう。

 しかし、目の前で本が売れていく喜びというのは計り知れないものがある。即決で買ってくれる人、見本誌を一通り眺めて買ってくれる人、様々な人がいるが、どれも嬉しいことに変わりはない。

 なかなか名が売れていないと、頒布した本を買ってくれる方は少ないかもしれない。おそらく、「本を売りたい」という人よりは「本を出したい、あわよくば見てもらいたい」という人のほうが心が折れなくて済む。本を手に取ってもらえるだけでも幸せなことなのだ。

 文フリに参加すると、色々自分の至らないところが見えてきて、次はもっといい小説(短歌、俳句、詩、評論)などを作ろうとか、もっと良いブースを作ろうなど、次へ向けてやりたいことが増えていく。自分が文芸を通じてやってみたいことの発表の場として、文フリは存在するのだと思う。

 

 来年も文フリに参加しようと思う。この次は、もっととんでもないものを作って発表してみたい。

 この文章(前編、後編)を読んで、1人でも文フリに来場してみたい、出店してみたいと思う方がいれば幸いである。

 

 終わりでーす。