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読書感想文:pha『人生にゆとりを生み出す 知の整理術』

 読書感想文の時間です。

 

pha『人生にゆとりを生み出す 知の整理術』(大和書房)

人生にゆとりを生み出す 知の整理術

人生にゆとりを生み出す 知の整理術

 

  世の中には自己啓発本というものが存在する。書店によっては1つのカテゴリになっているところもある。カテゴリになるということは、それだけ沢山の自己啓発本が巷にあふれているということだろう。

 私は自己啓発本をあまり読んだことが無い。この手の本は内容がすごいのではなく、成功した人がすごいという考えがあるため、自己啓発本を読んでも「ああ、私には無理そうだな」と思ってしまいそうだからだ。本に触発され、書かれている内容を試してみるが続かず、挫折してしまい自己嫌悪に陥る。自己啓発本は扱いを間違えると自己嫌悪本になってしまう。

 そんな私がなぜ、タイトルだけ見ると自己啓発本にしか見えないこの本を読もうと思ったのか。それは、著者が「少し違う人」だからである。

 著者のpha氏はニートである。働く気がなく、だらだらと過ごしているらしい。以前pha氏が出演していた『ザ・ノンフィクション』を見たことがあるが、働くことにつまづいたり、違和感を感じたりしている人々がシェアハウスをしていた。私は気が合う人たちで村を作って暮らせればいいのにと考えながら社会に潜っているが、その願望の解答例の一つを見た気がした(余談だが、番組放映時、社会人が憤ったり感化されているのを見て、Twitterには様々な人がいるのだなと改めて感じた)。

 自己啓発本を書かなそうな人が書いた自己啓発本。私は情報を手に入れるとすぐにAmazonで購入した。

 結論から言うと、衝撃的な内容ではなかった。どう情報をインプット/アウトプットしていけばいいのかを中心にこの本は進んでいくが、画期的な方法は出てこない。しかし、面倒くさがりが何かを学ぶにはどうしたらいいかが詳しく書かれていた。

 pha氏はかなり面倒くさがりで、長続きしない人物(だと自らを評している)らしい。そのため、「面倒くさがりな自分を計算に入れた学び方」を身に着けていったのだろう。

 例えば、スケジュールを立てるとき、「自分のダメさを計算に入れる」とpha氏は述べる。この考え方は盲点だった。確かに、ついつい自分がいつも同じような精神力で物事を進められるという、ありもしない予測を立ててスケジュールを立ててしまうことはままある。「自分のダメさを計算に入れる」というのは、言い換えると「余裕を持ったスケジュールを設定する」になると思う。余裕を持ったスケジュールを作り、実際に行動する。当たり前のように思えるが、なかなかできないのが現実である。

 また、情報をインプット/アウトプットするとき、pha氏は「覚えたいことを抱えて散歩をする」、「Twitterをアウトプットのウォーミングアップにする」など、面倒くさがりな脳を上手くコントロールするための方法を提示する。世の中には、脳にやる気を出してもらうことを前提としたライフハックも存在するが、この本は、自分の脳がすぐにやる気を無くし、面倒くさがるものだという前提で進んでいく。

 本を読んで、pha氏は面倒なことを回避するために、色々な策を尽くす人なのだろうと感じた。「面倒だからやらない」のではなく、「面倒だから手を打つ」のである。私も「面倒」だから、アウトプットをする練習をぼちぼちしていこうかなと感じた。