コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

第9回漂流歌会に参加しました

 東京は分母が多い。

 様々なイベントの数が多いため、面白いイベントに巡り合う可能性も高くなる。その分、ハズレを引く可能性もあるのだが。まあ、地方にいると、引けるもの自体がかなり限られていることも多く、やはりイベントの分母が多いことはそれだけでアドバンテージになるよなと思う。幸い、住んでいる地域から新幹線一本で東京に行くことができるので、出来る限り東京で行われるイベントには参加しておきたい。東京は人の分母も多いため、面白い人がいる可能性も高いからだ。

 

 7月7日(土)に行われた、第9回漂流歌会について感想を書いていきたい。

 

 普段は新潟で活動している空き瓶歌会に参加しているのだが、他の歌会も参加してみたいと思い、6月は石井は生きている歌会@福島に参加した。その歌会が面白かったので、他の歌会も参加してみようと思い、調べてみると土曜日に行われる歌会がヒットした。それが今回参加した漂流歌会である。

 会の詳細を見てみると、短歌・歌会初心者にも丁寧で分かりやすい説明と、会場でパフェが食べられるらしい。パフェは良い。甘くて美味しいうえに背が高いし。

 また、主催者のショージサキさんとは、ゴールデンウィークに行われた、石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』批評会で一度お会いしたことがあり、面識の全くない人だけしかいない歌会に行くよりも心理的なハードルが低いため、参加表明がしやすいというのもあった。最近行った歌会に関しては、この批評会がきっかけになることが多く、Twitterに閉じこもっているより現実に出ていったほうが得られるものも多いということに7年以上かけて気づく。Twitterで「高速道路の煮つけ」や、「コミュニケーションドラゴン」などと呟いていても何も得られるものはないのだ。

 

 当日になり、新幹線に乗って東京に向かう。新幹線に乗っている状態で、地図アプリなどで現在地を見ると、ずんずん動くので笑ってしまう。

 2時間と引き換えに東京に着く。昼ごはんには丁度いい時間帯だったので、ラーメン的なものを食べた気がするのだが、いまいち覚えていない。まあ、経験則的にラーメン以外食べているはずがないので、おそらくラーメンだろう。

 適当に時間を潰しつつ、時間になったので会場の珈琲西武に向かう。歌会が行われる部屋に入ると、人々が存在していた。ドリンクを頼む流れになったので、メニュー表をめくる。悩んだ挙句コーラにしたのだが、後でソーダフロートがあることに気づく。私は町で一番ソーダフロートやメロンクリームソーダが好きなのだが、皆バラバラの飲み物を頼んでいたため、勝手に飲み物を被らせてはいけないのだとマイルールを作ってしまい、変えることができなかった。

 3時過ぎになり、主催のショージさんが到着し、歌会の流れが説明される。導入の部分がかなり丁寧だったため、歌会が初めての人に対してかなり配慮がされているなと感じた。

 歌会の流れとしては、選(良いと思った短歌をいくつか選ぶこと)をしてから感想・評を述べていくものが多いような気がするが、漂流歌会は感想・評をしてから選をするというシステムだった。

 短歌が1つずつ紹介され、ランダムに人々が当てられていく。中には作者が自分の短歌の感想・評を言うパターンもあった。私もそのパターンだったのだが、普段参加している空き瓶歌会(新潟で行われている歌会で、私もよく参加させていただいている)で何回も経験していたため、そつなくこなしたと思っているが、思っているだけである。

 感想・評を述べるときに、私は韻律に目を向けることが少なく、どちらかというとその短歌が出している空気感に目が向く。映し出している世界に入ろうとしていく傾向がある。短歌は歌なので、もう少しリズムにも目を向けたほうが良いのかもしれない。自分の評がどうだったのかは、なかなか客観的に見ることはできないので、できる限り悔いの残らないよう歌にぶつかっていく必要がある。そんなことを考えた。

 全ての短歌の感想・評が終わると、どの歌に選を入れるか考える時間が設けられる。もしくは、パフェを食べる時間と言い換えることもできた。

 

 

 私が考えているパフェは、高くても600円くらいなのだが、珈琲西武では900円くらいする。本気の価格設定だ。あなたはパフェと本気で向き合ったことがありますか?

 私の頼んだチョコレートパフェはフルーツやアイスクリームがのっている、想像以上に背の高いやつだった。バスケットボール選手並みのパフェと、あなたは対峙したことがありますか? 高さの割にはすんなり食べることができた。

 パフェをあらかた食べ終わると、どの歌に票を入れたのかを発表する時間が設けられた(パフェを食べたのが先か、選を発表したのかが先か忘れてしまった)。選の結果に左右されすぎるのは良くないが、まあ多くの人が自分の歌に票を入れてくれるのは嬉しいものである。今回はそこそこ票が入ったので嬉しかった。

 その後は懇親会が行われた。

 私は予定があったため中抜けしたが、暖かい雰囲気で懇親会も行われたのだろうと思う。なお、数回のチャレンジを経て今回、酢モツが苦手だということが判明した。

 

 漂流歌会は、今まで参加した歌会の中で、一番歌会初心者に対して親切(歌会の流れや選の入れ方など、導入がかなり丁寧)だと感じた。次はいつ開催されるか未定だが、漂流歌会をきっかけに歌会に参加してみるのも良いのかもしれない。パフェを食べることもできます。パフェを、食べることが、できます。

 

 あらゆる感想に当てはまることだが、良い・悪いだけで判断を終わらせてしまうと、感想の目の粗くなってしまい、物事のイメージ、感覚、空気を掴み損ねてしまう。歌会に参加すると、もっと歌を掬わなければと感じる。物事としっかり向き合って感想を書いていくことで、感想の目をできるだけ細かくしていきたいと感じた。