コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

空中泥棒『Crumbling』

f:id:komugikokomeko:20190108233620j:plain

 2018年リリース。韓国の宅録アーティスト、空中泥棒による2ndアルバム。正確に言えば、前名義の公衆道徳で1stアルバムを出しているため、空中泥棒名義としては初のアルバムになる。

 

 公衆道徳名義で発表された前作では、アコースティックギターを中心に構えた、ノイズが時折織り交ざる、宅録の空気を生かした温かみのあるサウンドが持ち味だったように思える。

 今作では、前作で大活躍したアコースティックギターは少し後ろに下がった。変わりに温かみのある電子音が前作以上に散りばめられている。この電子音が、アルバムに様々な顔をもたらしている。

 弾けるような電子音が、アルバムの始まりを告げる『なぜ?』、アコギと電子音が遠くの暖かな世界へ連れて行ってくれるような『鉄鎖』、空気の中で揺れながら現れるイントロが特徴的な『曲線と透過性』と、アコギと電子音を美味く織り交ぜながらアルバムは進んでいく。前作に比べると、音世界はドリーミーなものになっているように思えるが、夜ではなく、冬の晴れた朝に聴きたくなる。

 また、女性ボーカルとして、同じく韓国でプロデューサーとしても活躍している、シンガーソングライターのsummer soulを起用している。柔らかな歌声は、空中泥棒の世界観に溶け込んでいる。

 前作と違う顔を見せながらも、ゆるやかな音の世界で楽しませてくれるアルバムだ。

 

 ちなみに、日本盤のCDには、アルバムの最後に隠しトラックが収録されている。

 

【トラックリスト】

1. なぜ?
2. 鉄鎖
3. 閉じたように
4. 曲線と透過性
5. 共に崩れる
6. 守護者
7. 泥
8. 消息無し