コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

LemKuuja『jude.』

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 2017年リリース。ヨルダン在住のアーティスト、LemKuujaのアルバム。Discogsで確認したところ、どうやら3枚中2枚目のアルバムらしい。

 business casualというインターネットのレーベルからこのアルバムはリリースされている。このレーベルは基本的にFuture Funkと呼ばれる音楽ジャンルのアルバムを多数リリースしている。インターネットを漂う音楽、vaporwaveの派生ジャンルであるため、試しにBandcamp(音楽販売・ストリーミングサイト)でvaporwaveとタグが付いているアルバムの詳細をいくつか見てほしい。何度もbusiness casualという名前を目にすることになるだろう。

 Future Funkについてざっくり説明しておくと、(主に)80年代の歌謡曲をサンプリングし、それを4つ打ちにしてキックを強くして、フィルターをかけた音楽である。調べればいくらでもジャンルの解説や代表曲が書かれた記事が出てくると思うので、気になった方は調べてみてほしい。

 

 前述したとおり、このアルバムもbusiness casualからリリースされている。そのため、Future Funkなのでは?(ちなみにBandcampにあるアルバムのページには『future funk』というタグが付いている)と思ってしまうが、聴いてみるとそうともいえない。ノイズの入り方やビートが、むしろLo-Fi Hiphopに近いように思える。

 Lo-Fi Hiphopに関しては、この記事に詳しく書かれているので、気になった方は見てほしい。

www.beipana.com

 

 24時間Lo-Fi Hiphopを流しているラジオもあるため、そちらを聴いてみて、ああこんな感じかとうなずくのもいいかもしれない。

www.youtube.com

 

 話をアルバムに戻していきたい。2曲目の『jude.01』に関してはカットアップの仕方がFuture Funkらしさが少しあるのだが、ビートはどちらかというとHiphop寄りに感じる。しかし、Future Funkらしさを感じるのはその曲だけで、4曲目に『jude.03』関しては、音の質感やざらついたノイズが入っていて、Lo-Fi Hiphopに舵がきられている。なお、曲の順番とタイトルの数字が一致していないように思えるが、それは1曲目が『june.00』で、そこから数字が1つずつ増えていくためである。

 このアルバムの好きなところは、ぼんやりとした熱を感じるところだ。例えば6曲目の『jude.05』はピアノループがメインの曲なのだが、フィルターのかかり具合や、途中でブラス(?)が入るところなど、随所に盛り上がる箇所がある。しかし、Future Funkのようにこちらの腕を引っ張っていくような盛り上げ方ではなく、どこかぼんやりとしている。『jude.』というタイトルに合った熱量だと思う。

 8曲目の『jude.07』ではアニメ内の会話がサンプリングされている。海外の人はどこからこういうサンプリングを拾ってくるのだろう。途中でビートが消えてほぼそのままアニメの音声が流れているのは少し笑ってしまう。また、アルバム自体もサンプリングされたアニメの音声が流れて終了する。

 ぼんやりとした熱量を持ったLo-Fi Hiphopであるこのアルバム、10曲で24分とさっくり聴くことができるため、夜のちょっとした時間に流すのに適していると思う。

 

 その後、このアーティストの他のアルバムも試しに聴いてみたのだが、どちらもバリバリのFuture Funkだった。もちろんbusiness casualからリリースされている。 

 

【トラックリスト】

1.jude.00
2.jude.01
3.jude.02
4.jude.03 (ft. ayashi[!].)
5.jude.04 
6.jude.05
7.jude.06
8.jude.07
9.jude.08
10.jude.09 (ft. sarah)