コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

メゾン文芸部、というサークルについて

 『コムギココメコ』というブログを主催している人物、つまり私は、短歌や小説を定期的に作っている。短歌は2か月に1回ペースで連作を出したり、賞に応募したりしている。小説は年に2本くらいで、もう少し書いていかないとなあと感じている。

 短歌や小説を発表する場を作るために、大学の友人たちを集めてひっそりと同人サークルを主催しているのだが、あまり宣伝もしていなかった。ペーパーカンパニーだと思われても悲しいので、今回はサークルの紹介をしていきたいと思う。

 

【目次】

 

サークルについて

 私は、メゾン文芸部というサークルを主宰している。

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 文芸部と名が付くので、一応言語を使った表現を用いた作品を作っている。今のところは小説・エッセイがメインになっていて、いまのところ私だけが個人で短歌を作っている。

 活動内容としては、毎年秋に行われる文学フリマ東京に小説の合同誌を頒布している。その横で個人的な短歌冊子も出している。2017年から参加しているので、今のところ3回ほど出店している。3年連続3回なので、最近野球に力を入れだした私立校みたいな立ち位置だ。

 また、上にリンクをはり付けてある通り、ホームページに月2回持ち回りで文章を投稿している。気が向いた人が不定期で何か文章を書く場合もある。  

 

小説について

 小説は以下の3冊を頒布した。

 

『Novels for Credits』(品切れ)

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 2017年発行。学生をテーマにした小説集だが、テーマのせいで参加者は書き上げるのにかなり苦労した。6人中4人が小説もしくはエッセイを初めて書いた。

 私は図書館に関する掌編小説、文章を再翻訳したもの、遺灰をテーマにしたスポ根を書いた。書いた文章をひたすら再翻訳していく手法は今も興味を持ち続けている。元の文章が意図しない方向に広がっていくのが面白い。なぜ遺灰とスポ根を取り合わせようと思ったのかは、今となっては全く思い出せない。

 

『メゾンの闇鍋』(品切れ)

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  2018年発行。執筆したメンバーが半分以上入れ替わる。複数人による校正が入り、誤植はかなり減った。また、表紙を写真に導入し、前よりは満足する仕上がりになった。

 テーマ設定をやめたことにより、SF、サスペンス、ショートショートなどジャンルが作者によって前作以上にバラバラになった。その中で、私は架空の音楽バンドのレビューを書いた。小説ではないような気もするが、そもそも文章だったら基本的にOKという方針のため、特に異論も出なかった。

 

 『メゾンの物置』(現在PDF版のみ販売中)

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 2019年発行。参加人数が前年の6人から10人に増えた結果、ページは約130ページから約460ページに増加した。文学フリマ東京に出店した際、短歌ブースで頒布したため、見本誌コーナーでは一つだけかなりの厚さになっていたらしい。さながら地方都市に建てられたビルのようだった。

 カバーや背表紙を付け、装丁も凝るようになった。実物は以下の画像の通り。

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 内容としては、SF・サスペンス・時代小説に加え、エッセイ・昔話・卒業生の謝辞などが盛り込まれた。後半にいくにしたがって暗めの小説が並ぶ。

 私は体験記風の小説、日常を描いた小説、謝辞のリミックスを書いた。謝辞に関しては、運良く友人の1人が謝辞を書いたことがあったため、参考にすることができた。しかし、かなり改変をしているため、原型は跡形もなくズタズタになっている。

 紙媒体の者は売り切れてしまったが、PDF版を販売しているのでよろしければどうぞ。

komugikokomeko.booth.pm

 

短歌について

 短歌を作っているのは今のところ私だけなので、スピンオフ的な立場ではあるが紹介していきたい。

 

『だけの日だった』(品切れ)

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 2018年発行。短歌37首と歌会のレポート、写真が収録されている。短歌に関しては、連作(いくつかの短歌で構成された作品、と私は解釈している)という概念を知り始めた頃の作品が収められている。

 歌会(持ち寄った短歌の評をしあう会、と私は解釈している)のレポートに関しては、食べ物に関する話がすぐ出てくるなと、読み返してみて思った。

 

『準備の季節』

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 2019年発行。短歌が95首収められている。前年は10首以下の連作しかなかったが、この冊子には15首連作と30首連作が載っている。

 現在読み返してみると、昨年はこういう感じだったのかと妙に感慨深い。同じことを考えながら作っている年はないため(少なくとも自分の意識としては)、今年出す場合はこの冊子とは少し方向性が変わってくるのだろうなと思う。

以下のリンクで販売しているので、よろしければどうぞ。以下のような短歌が収録されている。

宗教をはじめようって思う日はどんな日だろう 徒歩のつめたさ

 

発音のおかしいあくびを笑っても 笑ってもまだ夕暮れの中

 

元号が変わってソフトクリームが割引されたのでありがとう

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メンバーについて

 どういうメンバーがメゾン文芸部に携わっているのか、どういったものを書いているのかを、簡単に触れておこうと思う。

 

橙田千尋(とうだちひろ

 この文章を書いている人。一応サークルの暫定的な主宰でもある。短歌と小説を主に作成していて、サークルで頒布した冊子の全てで何かしら書いている。架空のバンドレビューや謝辞のリミックスなど、出オチみたいな文章を多く書く。

 

烏丸沖名(からすまるおきな)

 サークルで頒布した小説の合同誌に全て参加している。サスペンスや文学作品のパロディなど、合同誌ごとに作風が変わっている。

 

animus-siki

 『メゾンの闇鍋』『メゾンの物置』に参加。書いている小説はSFにカテゴライズされると思う。ブログではインターネットが煮詰まったような文章を書く。

 

井桁(いげた)

  『メゾンの闇鍋』『メゾンの物置』に参加。サスペンス小説を書いている。一番情念のこもった文章を書いている。飛行機を中心とした写真も撮っている。

 

小路(こみち)

 『Novels for Credits』『メゾンの物置』に参加(『Novels for Credits』は別名義)。恋愛をベースにしながらも、低体温気味の文体が特徴。カロリーが高い文章を書く人もいるので、バランスが取れているのかもしれない。

 

星大胡(ほしだいご)
 『メゾンの闇鍋』『メゾンの物置』に参加。ショートショートや60年代後半にムーブメントを起こした(らしい)ヒッピー文化に焦点を当てた小説を書いた。

 

しずく
 『メゾンの闇鍋』『メゾンの物置』に参加(別名義)。好きなものに焦点を当てたエッセイを主に書いている。自分の熱意を文章に反映させることができてうらやましい。

 

梶槙人(かじまきと)
 『Novels for Credits』に参加。サークルの校正で八面六臂の活躍をしていることもあり、その経験を生かした文章をホームページ内で公開している。歴史に造詣が深い。

 

第六惑星(だいろくわくせい)
 『メゾンの物置』に参加。参加時はショートショートを書いた。サークルのシステム構築も担っている。いつもネタ探しで苦しんでいる姿が目撃される。

 

高柳典賛(たかやなぎでんさん)

 『メゾンの物置』に参加。参加した時はゲームをモデルにした壮大な戦記物を書いた。ブログではバナナの写真をナスに見えると主張している。

 

原ヶ井袋(はらがいたい)

 『メゾンの物置』に参加。参加した際はエッセイと昔話を書いた。メンバーごとに持ち回りで記事を書くことが決まり、記念すべき第1回目で死に関する文章を書いた。

 

みつき

 『Novels for Credits』に参加。参加した時は青春の苦い部分にスポットライトを当てた小説を書いた。サークル創設時に小説を書いたことのないメンバーが揃う中、主宰以外で唯一小説を書いた経験があった。

 

サークルを作るということ

 今では年1回ペースで小説の合同誌を作っているが、元々は文学フリマに出店するために急遽サークルのような何かを作っただけで、個人的には単発企画の予定でいた。しかし、文学フリマに初めて参加した際に来年もやろうという声が多かったため、現在まで続いている。

 友人と話すことは多くても、書いた文章を読む機会はほとんどない。仲の良い人がどういう文章を書くのかに興味があったので、定期的に見る機会があるのは嬉しい。

 また、印刷物を残すという行為は、過去の自分たちの思想や作成過程をアーカイブするようなものである。頒布した本を比較して、どういった部分が変わったのかを考えるのも楽しい。時々思い返しては様々な話で盛り上がることができるのも、サークルで印刷物を作るうえで楽しいことの一つだ。

 サークルで同人誌を販売することでネックになるのは、金銭面である。特に小説などは収益を出すことが難しいように思える。自分たちで作ったものが他の人の手に渡る喜びもあるけれど、家計簿の赤を少しでも薄めるために、ある程度売れてほしいという気持ちはどうしてもある。

 また、続けていく難しさもある。今のところは活動を続けていられているが、そのうち皆が忙しくなって、続けるのが難しくなるのかもしれない。そういった事情で活動を休止したサークルも多くあるのだろう。

 続けられる限りは続けていき、アーカイブを残していきたい。

 

 2020年11月の文学フリマ東京が開催されるのであれば、そこで小説の合同誌と短歌冊子を頒布する予定だ。方法はどうであれ生き永らえて、半年後に会いましょう。