現実感を歪ませるような人物が好き、というこれまた抽象的な理想像がある。分かりやすく言うと、怪しい人物とでも言おうか。しかし、ただ怪しいのではだめである。別にアウトローな人物が好きなわけでもないし、仙人みたいな現実離れしている人物が当てはまるというわけでもない。
仙人で思い出したんで書いておくんですけど、清原が覚せい剤で逮捕されたとき、元オリックス・巨人の野村がニュースに出てたらしく、後から知ったんですけど、初めて見た時、「あれ? 佐藤蛾次郎って覚せい剤で捕まってたっけ?」と思ってしまった。現役を知らないので詳しくは語れないが、人の風貌なんて数年で変わってしまうんだなとしみじみ思ってしまった。佐藤蛾次郎ファンの方には、勘違いしてしまったことをお詫び申し上げます。
理想像に当てはまる人物がなかなかいないなと思っていたが、最近やっと理想像の最適解に近い人物を発見した。その人物はロン・メイルである。
↑昔のロン・メイル(1枚目)と現在のロン・メイル(2枚目)
ロン・メイルはスパークスというアメリカのバンド(?)のメンバーで、基本的にはキーボードを弾いている。スパークス自体は、一筋縄ではいかない捻くれた歌詞で知られているらしい。『Kimono My House』というアルバムの1曲目「This Town Ain't Big Enough for Both of Us」、2曲目の「Amateur Hour」がとても好みで、急いでTSUTAYAに駆け込んだが無く、お金が入ったら買う事を決意した。あと近所のTSUTAYAはボンジュール鈴木のミニアルバムに違うCDを入れるのをいい加減やめてほしい。
↑着物を着ているのに伝統感が無くて個人的には大好きなジャケットである。
ロン・メイルという人物、出で立ちはちょび髭にスーツが基本のスタイルである(現在は丸メガネをかけている)。派手に動くボーカルのラッセル・メイルの横で、しかめっ面をしながらキーボードを弾いている。下の動画を見てほしいのだが、1人だけ間違った現場に来てしまったような異物感を感じる。笑っている表情もあるのだが(2つ目の動画)、不気味で芝居がかっている。
この人が出てくると、現実感が歪むと私は思う。あるはずのないところに存在しているような気持ちにさせられるのだ。デペイズマン的な人間とも言おうか。教室にジャガイモが置いてあったら驚くでしょう? ジャガイモ学部ジャガイモ専攻とか、ジャガイモ概論があった大学は知らん。
※デペイズマン:あるものを本来あるコンテクストから別の場所へ移し、異和を生じさせる手法。
現実感が歪むのと、現実感がなくなるのは違う。例えば、1人だけ奇抜な格好をしている人がいるバンドはいくつか存在するが、それはバンドの演奏という現実から切り離された状態である。ロン・メイルのすごい所は、現実離れした格好をしていないにもかかわらず(現実に寄り添った状態で)、異化効果を生じさせている。ボーカルのラッセル・メイルが正反対のスタイルをとっていることによる、コントラストが生じているだけかもしれないが、現実感の歪みと書いた方が夢があっていい。
ロン・メイルには、いつまでも現実感を歪ませる存在であってほしい。
2016年に買った or 借りたアルバムをメモしていく事にする。
Tortoise『Beacons of Ancestorship』
!!!『LOUDEN UP NOW』
EGO-WRAPPIN'『BLUE SPEAKER』
ボンジュール鈴木『Lollipopシンドローム』
DE DE MOUSE『sky was dark』
飽き性なので、これからも様々なアーティストのアルバムを知りたい。Twitterは割と役立つツールなので、活用して新たなアーティスト発掘にいそしみ、飽きないようにしたい。
やはり歪んでいる。