コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

私のための文フリ講座①(文フリに出るまで)

 今回は文学フリマの話をします。

 

 11月23日(木)に第25回文学フリマが行われた。私もその日、文学フリマの会場にいた。しかも、今回は本を売る側として参戦した。どんなものを売っていたかについては以下の記事を読んでいただきたい。

komugikokomeko.hatenablog.com

 

 文学フリマ(以下文フリ)は、ある程度文芸的なものに興味を持った人々が来場する場合がほとんどである。その中には小説や詩、俳句、短歌、評論を趣味で行っている人もいて、いつか文フリに本を出してみたいと思う人も存在するだろう。しかし、その人は、本を出すのって結構難しそう……と思っているかもしれない。

 今回は文フリに初めて出店した私が、どうやって本を作り、当日売ったのかを紹介していきたいと思う。また、その際の失敗も書いていく。文学フリマで本を出してみたい方がこの記事を参考にして、来年5月や11月にサークルもしくは個人出店してくれると嬉しい限りである。

 ちなみに、今回の主なターゲットは、文フリ東京に出店してみたいと思っている方である。他の地域だと多少差異が出てくると思うので、ご了承願いたい。

 本は、出せる!!

(まず文フリって何? という方には、私がはじめて文フリに参加した時の感想文があるので、そちらを見てほしい)

komugikokomeko.hatenablog.com

 

1.文フリに申し込もう

 まず、文フリに申し込まないと何も始まらない。参加権は待っていてもやってこないからだ。

 

はじめに、個人でサークル出店をするか何人か仲間を集めて出店するかを決めておこう。個人でやる場合と、仲間を集めてやる場合のメリットデメリットをそれぞれ挙げておく。

 

①個人出店

メリット:自分の好きなように本を作ることができる。表紙も本文も内装も自分のこだわるがまま作ることができる。他人が存在しないため、他人の動きでイライラすることもない。

デメリット:すべて自分でこなさなければいけない。ゆえにタスクは多くなり、締め切りで死ぬ人も出てくる。また、金銭的負担が大きい。

 

②仲間を集めて出店

メリット:金銭的負担は人が増えれば増えるほど少なくなる傾向にある。バラエティに富んだ本を出すことができる。コンセプトを決めておいて、各々の作品の文体や雰囲気の違いを味わってもらうことも可能である。

デメリット:別々の個体が書いているため、統一感を出す場合は苦労する。また、本の編集を行う人は、他人の進捗を見てイライラを募らせる場合も多い。

 

 ちなみに私は仲間を集めて出店した。金銭的負担は軽かったが、他人の進捗状況で心が荒んだ。ネットの記事に、「進捗が出ていないのに、Twitterなどが動いているとマジで殺したくなる(意訳)」という意見があったが、概ね同意である。締め切りを過ぎたらTwitterはしないほうが後々皆が平和でいられるので、皆さんも注意したほうがいいだろう。

 

 次に、こちらのページを見ていただきたい。

文学フリマ - 文学フリマ出店ガイド

 このページには、出店までの方法が説明されている。流れをざっくり言うと、

 

 出展要項を見る→申込用Webサイトにて新規登録する→マイメニューから出たいイベントの申し込みを行う

 

 以上の3点である。これらを1つずつ説明していく。

 

①出展要項を見る

 文フリは様々な地区で行われている。今のところは東京、大阪、金沢、福岡、岩手、札幌、京都、前橋で実施された。大都市になるほど参加ブース数も増える。ちなみに11月に行われた、第25回東京文フリは約800ブースが出店した。

 基本的には一番近くで行われる文フリに出るのが良いと思うが、東京が一番来場者が多い。労力をとるか、来場者数をとるかは自由である。

 まず、出展要項(共通)で全国共通のルールを知り、次にブースを出してみたい地域の出展要項を見るといいだろう。

 

②申し込み用Webサイトで登録する

 出展要項を読んだら次はユーザー登録をする必要がある。『Webカタログ+エントリー』からマイメニューに飛ぼう。すると、『ユーザ登録』というフォームがあるはずだ。そこにメールアドレスとパスワード(自分で設定)を打ち込み、登録を押す。すると、登録したメールアドレスに文学フリマからメールが届くので、案内に従う。これで、登録は完了だ。

 

③イベントの申し込みをする

 登録が終わったら、ログインができるはずだ。先ほどのWebサイトでログインを行ったら、マイメニューに飛ぼう。

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 こんな感じの画面が出るはずなので、『イベント申込・Webカタログ編集・出店者(サークル)管理』を押す。

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 すると、『出店申込受付中のイベント』が出てくるので、出店したいイベントの申込ボタンを押そう。出店したいイベントが出ていないという方は、まだ出店申し込みを受け付けていないか、もう受付が終わったか、もしくは、まさかとは思いますが、この「イベント」とは、あなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか。

 

 申込ボタンを押した後は、『新しく出店者(サークル)を登録する』をクリックし、出店者(サークル)登録を行う。サークル名は後から変更できるので、まだ仮で構わない。パン、うどん、米、フォーという名前で登録してもいいだろう。しかし、変更するのを忘れて、仮のサークル名で出なければいけなくなる場合もあるので注意したほうがいい。入力が終わったら、登録ボタンを押す。

 登録が終わったら、申込規約のページが出てくるので、規約を確認して同意ボタンを押す。

 そうすると、代表者情報を入力するフォームが出てくるので、必要事項を入力する。その下に、ブース数・イス数を選択する項目があるので、ブース数・イス数を選択する。1ブースにつきイスは一脚だが、+500円で一脚追加することができる。1サークルにつき、最大2ブースまで追加することができる。ちなみに東京フリマは1ブース5500円で、先述した通り、+500円で椅子を一脚を追加することができる。

 1ブースは長机の半分で、大体横90㎝×縦45㎝である。詳しくは後述するが、この大きさを把握しておく必要がある。

 代表者情報を入力し終えると、確認画面が出るので、問題がなければ送信ボタンを押す。上手くいっていれば、申込を受け付けた旨と、ブース料支払いの案内がそれぞれメールで送られてくる。お金を払えば無事申し込みは完了となる。

 なお、文フリは早く申し込みをしたブースはある程度の数までなら確定で出店することができる。もしかしたら抽選になる可能性もあるので、思い立ったら申し込みをしましょう。

 

2.頒布物を作ろう

 申し込みが終わった後に考えなければいけないことは、頒布物だ。頒布物は本、しおり、作文用紙など様々な形が存在する。一番オーソドックスなのは本である。今回は本を出すことに論点を絞って書いていくことにする。何も作らないまま本番を迎えると、当日大慌てでコピー本を作る羽目になるか、無を販売することになる。無の販売は一見斬新に見えるが、すでに駒場祭(東大の学園祭)で行われていたらしく、二番煎じになってしまうので、やめておいたほうが賢明だろう。

 

 まず、自分が何を書くのか決めよう。ここで言う何を書くかは、小説、詩、俳句、短歌などを指す。ここでは、文フリで多数を占める小説に絞って話を進めていく。

 小説を書くのにも、ある程度本文のテンプレートを作ってからでないと後々面倒なことになる。幸い、印刷会社でテンプレートを用意してくれているところもあるので、それを基本にしながら、依頼する印刷会社の指定と、自らの好みに合わせていくほうがスムーズだと思われる。 

www.shimaya.net

 こういったテンプレートを用意してくれている印刷会社もあるので、活用できるものはどんどん活用していこう。

 設定が終わったら、どんどん書いていく。どんな小説を書けばいいのかは人それぞれなので、好きな小説を書けばいい。ちなみに私は、図書館で首を吊られて就職する物語、Googleの再翻訳を100回かけた文章、遺灰投げ大学選手権の模様をそれぞれ3つの小説にしました。一体何なんだ。

 どんなに遅くても文フリ1か月前に書き終えていると、後々バタバタしなくて済む。初めて本を作る人は、本当に余裕を持ったスケジュールにしておいたほうがいい。私は余裕がなく、様々なミスをすることになっていく。もし仲間内に、締め切りを守らなそうな人物がいたら、その人だけ締め切りを2週間以上早めに設定しておくべきだろう。

 

 本文を書く以外にも、以下のような作業が本を作る上で必要になってくる。

・校正する

組版する

・表紙を作る

・まとめる

 これらの作業をざっくり説明していく。

 

①校正する

 かなり重要な作業である。できれば自分の小説を自ら校正するのではなく、誰かに校正を頼んだほうが良いだろう。また、校正は何回も行うべきである。1回だけだと割と抜けがある場合が多い。

 校正を行うときに見るべきポイントは、誤字脱字、変なスペースや段落下げが行われていないか、単語が統一されているか(例えば、何か意図がある場合を除いて、「私」と「わたし」はどちらかに統一することや、またはてなマークを使用する際に、半角と全角が混じらないようにするなどがあげられる)、設定などに意図せぬ破綻が無いかなどである。

私の失敗談:小説の編集作業が大詰めの時に、自分の小説に少し手を加えて、疲れた頭で校正をしたために、本が印刷されてから数か所誤字が発見された。

 

組版する

 次に、本のレイアウトを整えていく作業が必要になる。例えば、字と字、行と行の間隔を読みやすいようにするための調整や、あってはならない場所にある記号を適切な場所に移動させること(禁則処理)を行っていく。

 組版はかなり奥が深く、こだわりがある人はかなり細かい調整を行うらしい。また、フォントなども様々なものがある。ちなみに私は『MS 明朝』にした。明朝体にすると、小説のフォントっぽくなる。

 行の間隔や、行・文字数の設定などに関しては、印刷会社のテンプレートを使用した人は、あらかじめ読みやすいような調整がされている。そのままでもいいし、気になる部分がある人は、微調整するといいだろう。

 

③表紙を作る

 小説を書いていると、後回しになりがちなのが表紙である。表紙は小説の顔になるため、力を入れたほうが良い。表紙の良し悪しで、文フリでの食いつきにかなり差が出てくる。特に、内容がどんなものが試し読み程度だと伝わりにくい小説では顕著である。

 Twitterなどでイラストを描く人とコネがある人はその人に頼むのもありだし、現実の知り合いにイラストが得意な人がいれば、その人に頼むのも1つの手だ。自分でイラストを描いている人は、タスクは増えるが自作するという手もある。

 イラストを描いている知り合いがおらず、自分もイラストは苦手だという人は、フリーで表紙をアップロードしている、救世主的な存在がネットにはいるため、調べてみるといい。また、印刷会社によっては、表紙のデザインを何種類か取り揃えてくれているところもある。

 表紙のサイズに関しては、印刷会社でアナウンスしている場合がほとんど(注意点などを載せてくれているところも)なので、利用する印刷会社のホームページを参照してほしい。

 もう一度繰り返すが、表紙は小説の生命線である。あまり手を抜かないほうが良い。当日に後悔することになる。

私の失敗談:表紙に取り掛かったのが締め切り間近だったため、あまり満足のいくデザインにできなかった。もう少し目立つ色合いにすれば良かったと思う。

 

 

3.印刷会社に依頼しよう

(今回は、筆者が利用した『ポプルス』という印刷会社を例に出して話を進めていく。他の印刷会社に依頼したい人は、その会社のサイトを見てほしい)

 頒布物が完成目前まで迫ったら、印刷会社をどこにするか決めておこう。私は『ポプルス』に依頼した。料金が安いのと、レスポンスが早いことが決め手だった。

 まず、『ポプルス』では、見積→予約→入稿の順に話が進んでいく。いきなり入稿することも可能であるが、予約優先であるため、あらかじめ予約しておいたほうがいいだろう。

 ポプルスでは、これらの作業をマイページから申請することになる。まずは、登録を行おう。

マイページTOP

 次に、見積を出してもらう。項目をいくつか入力する場面があるが、必須のものだけで充分である。ページ数がまだ確定していない人は、大体のページ数を入力しておこう。入力が終わり、指示に従って進めていけば、見積の申請が完了する。大体1~2日くらいで見積が届く。

 見積が終わったら、予約を行おう。見積と同じく、項目をいくつか入力する。これも指示に従っていけばよく、1~2日くらいで予約完了との連絡が来る。

 最後に入稿である。入稿する前に、表紙、本文が印刷会社が指示したものと合っているか確認する必要がある。

www.inv.co.jp

 上のリンクに入ると、左側に「ポプルス利用ガイド」「原稿作成について」というメニューがあるので、しっかりと読み込む。データ形式や詳細は間違いのないように、何回も確認しよう。また、分からない点があれば、マイページに質問投稿フォームがあるので、質問しよう。

 私の場合、表紙も本文もpdfで入稿した。イラストを描く術が無かったからだ。また、やみくもにpdfファイルにすれば良いわけではなく、入稿に適したpdfファイルにする必要がある。他にも、何人か集まって合同誌を出す場合、pdfファイルをいくつかまとめる必要がある。以下に参考になりそうなサイトを載せておく。

 

 pdfファイルに小説を変換するときはこのサイトを参考にした。

www.k-k9.jp

 

 pdfファイルを統合する時は以下のサイトを利用した。

www.ilovepdf.com

 

 ノンブル(ページ数)をつける部分、つけない部分で分けたいときには以下のページを参考にした(Wordで小説を書き、組版する人向け)

121ware.com > サービス&サポート > Q&A > Q&A番号 018723

 

 入稿できる準備が整ったら、マイページより入稿していく。その際、zipファイルに圧縮する必要がある。ある程度OSが新しければ、『ファイルを右クリック』→『送る』→『圧縮(zip形式)フォルダー』で圧縮することができる。

 

 入稿するときに、どういった紙を使えばいいか、表紙にどういった加工をすればいいか迷うかもしれない。小説の場合は『クリームキンマリ』という紙を選ぶのがベターだ。小説の紙はクリーム色をしている場合が多い。また、厚さはページ数が多い場合(100ページ以上)は70k、少ない場合は90kで良いと思う。

 表紙の加工は、ポプルスでは『クリアPP』『マットPP』というものを無料で選択できる。クリアPPは光沢が映える加工で、マットPPは光沢を抑えた加工である。どちらにするかは好みによるだろう。

 

 入稿する際(見積、予約をしている人はその段階で)に、搬入方法を選ぶ画面が出てくる。文フリは会場搬入の対象になっているため、基本的には会場搬入を選択すればいい。その際、備考欄などに、ブースの場所とサークル名をしっかり書いておく必要がある。

 全ての入稿が終わると、入稿完了の連絡が届く。そうしたら、期限内にお金を振り込めばいい。ちなみに、入稿の締め切りはポプルスだと大体1~2週間前くらいだった。3週間前あたりには入稿まで済ませられているのが望ましい。

 

 ここまで書いてまとめをしておくと、

①締め切りは早めに設定する

②表紙はある程度凝ったほうが良い

③印刷会社の注意事項はしっかりと読み、作業ごとに確認する

 この3つが重要になってくる。

 

 以上が前半戦である。次回は、文フリ直前~本番までについて解説していきたい。