天気予報『雰囲気』
2017年リリース。天気予報の2ndアルバム。おかしなアーティスト名から察せられる通り、Vaporwaveに属している。
Vaporwaveには、様々なサブジャンルが存在している。その中の1つにBroken Transmission(もしくはsignalwave)というものがある。ざっくり言うと、国内外のテレビ・ラジオCMをサンプリングしてあまり加工せずに使用したものがこのジャンルに入る。1分前後で移り変わる曲、少し古い素材のチョイスなど、Vaporwaveの話をするときに時々出てくる『ノスタルジア』『消費』というワードにかなり密接したジャンルでもある。ある程度素材をスクリュー(素材のスピードを下げる)するものもあるが、中にはほぼ加工しないで使用する場合もある。今回紹介するアルバムは後者である。
※Vaporwaveのサブジャンルについては、ショコラ氏が翻訳したBandcampの記事に詳しく書かれている。
曲のタイトルを見ていくと、天気に関係しそうなものから、『緊急警報システムのビープ音』、『粛殺』、『差し迫った破滅「Termination」』といった不穏なもの、『人文』『ッ』といった良く分からないものまで多種多様である。
【トラックリスト】
このアルバムの面白いところは、ところどころでCMブレークと銘打たれた、文字通り何本かのCMが流れるだけの曲が何回か登場するところである。個人的には、「焼肉焼いても家焼くな」という、妙に小気味良いフレーズが特徴だった日本食研のCMが入ったところは耳を聴き張った。
90曲中、89曲はCMや耳をそのまま通り抜けそうなBGMを加工した、短い曲で構成されているが、90曲目の「差し迫った破滅「Termination」」は、3分超というアルバムの中で一番長い曲になっている。中身もどこか雲行きの怪しい、アンビエントである。聴き終わった後に何か消費しきれないしこりが残る。
短いながらも、90曲入ったアルバムなので、がっつり聴くというよりは、BGM代わりに流しておいたほうが合っていると思う。私は寝る時に聴いている。
トラックリストは以下のリンクに掲載されている。