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備忘録と不備忘録を行ったり来たり

ザマギ『All Bonus Tracks』

 

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 2005年リリース。ヒップホップグループ、ザマギの1stアルバムである。

 ボーナストラックとは基本的に最後に入っている肩の力が抜けている曲である(度が過ぎると悪ふざけになったり、手抜きになったりするので、ボーナストラックを入れるのは意外にリスキーな気もする)。全てボーナストラックとは、タイトルからして何か人を食ったような感じを覚える。

 ゆらゆらとたゆたうようなインスト曲の『INTRO(Out Look)』から始まるアルバムは、『Bom Beat』『トリプルコンピ(Sunset tag)』と、割と肩の力が抜けた、気持ち良い温度の曲が続く。爽やかめなギターが良いアクセントになっている『ショッキングブラック(Drunce Mix)』、少し前のテクノっぽさをまとった『Music Is Music』で少しずつ熱が上がっていくが、圧力を感じないくらいの熱である。

 このアルバムの核だと感じた曲の1つとして、『やりたいように(Mondo Disco edit)』が挙げられる。4つ打ちのリズムに主張してくるベースラインがカッコよく、リリックも「やりたいようにやりなさい」と、ストレートなのだが、押し付けがましくない。押し付けがましくならない温度こそ、ザマギの良さだと思う。

 ステレオタイプの外人が言いそうな単語が並ぶ『/JP』、インパクトのある映像と顔面が良く動くアニメーションが特徴的なAC部がPVを制作した『マジカルDeath (Feel The Vibe)』はフック(サビ)になると急にキックが力強くなり、曲の高まりを感じさせる良曲である。AC部は4曲目の『ショッキングブラック(Drunce Mix)』もPVを担当していたりする。

 ゆるっとした雰囲気に、基本ポジティブだけれども押し付けがましくないリリック。何だか気の良い人たちが作ったんだろうなという気持ちになる。人を食ったタイトルと、なぜか旗あげゲームのようなものを始める、曲の間に挟まれるインタールードから垣間見える奇妙さ、他のアルバムやシングルのジャケット(シングル『くらっ』では、YMO『浮気なぼくら』のジャケットのパロディである)で、色物と早合点してしまうと、大きなものを見逃してしまう。

 定期的に聴き返したくなる、良いアルバムである。

 

 2枚のアルバムを出した後、ザマギは活動を行っていないが、後にメンバーを増やして『POLICEMAN』というグループを結成している。『GAL男宣言』はAC部のPVも相まって、怪曲に仕上がっているので、一度聴いてみてほしい。

 ちなみに、ザマギは『ザ・マインドギフト』の略らしい。

 

【トラックリスト】

1.Intro(Out Look)
2.Bom Beat
3.トリプルコンピ(Sunset Tag)
4.ショッキングブラック(Drunce Mix)
5.Music Is Music
6,モンキートーク
7.Past
8.やりたいように(Mondo Disco Edit)
9./JP
10.マジカルDeath(Feel The Vibe)
11.Circledelic
12.ヤバイ

 

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