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柴田聡子『がんばれ!メロディー』

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 2019年リリース。シンガーソングライター、柴田聡子の5枚目のアルバム。

 

 2017年にリリースされた4枚目のアルバム、『愛の休日』に収録されている『後悔』という曲を聴いたとき、久しぶりに一聴き惚れをした。春の暖かさを感じさせるような曲調と、最後に<たら><れば>という仮定形を多用することによって、不穏さを漂わせてくる歌詞。聴いた次の日にちょうど東京出張があったため、すぐさまアルバムを購入した。

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 今回のアルバムでは、弾き語りを基調とした曲が前作より減り、バンドとしての一体感が強調された仕上がりになっている。これはバンド編成(柴田聡子 inFIRE)のメンバーが全面参加していることも大いに関係しているだろう。

 また、今まで以上にポップでキャッチーな曲が揃っている。小気味いいギターと存在感のあるベースが魅力的な1曲目『結婚しました』、アルバムの中でも一番真っすぐにポップな2曲目の『ラッキーカラー』と、この季節に聴くのにピッタリな明るさでアルバムが始まっていく。散歩しながら聴いていると、とても気持ちがいい。

 存在感のあるベースとそれを支えるドラムを中心に進んでいくA、Bメロから、サビで漂うようなギターを聴かせる5曲目の『涙』、アコースティックギターの後ろで少し寂しそうに鳴るフリューゲルホルンが印象的な6曲目の『いい人』で少し落ち着かせて、しばらくすると、打ち込み主体なのに繰り返されるフルートと歌詞が耳を離れない怪曲『ワンコロメーター(ALBUM MIX)』や、日本のどこか奥地の踊りをイメージさせる『セパタクローの奥義(ALBUM MIX)』がやってくる。

 

 そして柴田聡子の曲が私の心を捉えて離さない重要の要素として、歌詞が挙げられる。『結婚しました』の最初のサビ(夢見た~の部分)の、夢のために今日を<乗り越える>のではなく、<やりすごす>という部分に見られる生活の実感、最後の(離されない手~の部分)、『離されない手』という言葉に見受けられる相手への信頼感。この部分で声が張りあがるのも好きだ。

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 中でも『涙』は格別に良かった。Bメロ(うれしい今よりも~の部分)の、茶柱が立っていたという現在の嬉しさよりも、まだ起こるとは確定していない良い出来事・それに付随してくる感情を信じるところにもグッとくる。大サビに入る前に2回続く<わかった全部>の声の張り上げ方の違い、大サビのわたしと<あなた>の対比、<いくつ>と<ひとつ>から出てくるふたりの隔たりを個人的に解釈したときの衝撃はすごく、散歩のスピードをゆるめてしまった。

※私の話になるが、一番精神的に参っていた時期にPVがYouTubeにアップロードされた。聴いているうちに何だかとても救われている気がして、アルバムを購入するまでに30回以上は繰り返し聴いた。

 

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 歌詞の存在感とところどころに見られるヘンテコな部分はそのままに、前作以上のポップさ、キャッチーさを獲得した『がんばれ!メロディー』、是非色んな人に聴いていただければと思う。知っている人なら貸します。それくらいこのアルバムにのめりこんでいる。

 

【トラックリスト】

01. 結婚しました
02. ラッキーカラー
03. アニマルフィーリング
04. 佐野岬
05. 涙
06. いい人
07. すこやかさ
08. 心の中の猫
09. ワンコロメーター(ALBUM MIX)
10. 東京メロンウィーク
11. ジョイフル・コメリホーマック
12. セパタクローの奥義(ALBUM MIX)
13. 捧げます

 

がんばれ!メロディー

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