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大富豪の戦略:日本大富豪連盟公式ルールでの戦い方を考える

 皆さんはトランプを使ったゲームと言われたとき、真っ先に何を思い浮かべるだろうか。ババ抜き、七並べ、ダウト、ページワン、ポーカー、ソリティア、色々挙がるだろう。私はパソコン版のソリティアをクリアしたときに、画面を所狭しとトランプが跳ね回る光景が好きである。ああいう風に生きたい。

 私は大富豪が思い浮かぶ。大富豪を知らない方もいるかもしれないのでざっくりとルールを説明しておくと、大富豪とは、「カードを全てのプレイヤーに均等に配り、手持ちのカードを順番に場に出して早く手札を無くすことを競うゲーム(Wikipediaより引用)」である。ゲームが終わるごとに階級が決まり、階級ごとにカードを交換して、次のゲームを進める。

 このゲームは得意な人と苦手な人が分かれる場合が多い。最初の手札で大体勝敗の大半が決してしまい、一度大貧民になるとなかなか這い上がれず、最初の手札で決まる運要素の強いゲームと思う人も多いかもしれない。

 しかし、大富豪もある程度考えながら戦うことで、大貧民ばかりになる可能性は減らせる。大貧民を回避するための戦略については、以前書いた記事を見ていただければ多少参考になると思う。

 

komugikokomeko.hatenablog.com

 

 見るのが面倒な人向けに結論を書いてしまうと、「相手が持っているA、2、ジョーカーの枚数を把握」「序盤は1、2番目に弱いカードを残す(8や2など、場を流せるカードを持っている場合)」「相手の残り手札を把握する」と勝率が上がりやすい。これを読んで負けても責任は取れません。ご了承ください。

 上の記事を書いたのは2年半前だ。そのため、もう少し突っ込んだ話ができればと気持ちになった。

 今回は日本大富豪連盟が定めている、公式ルールにのっとった戦いをするときどういった戦略を取るべきかについて考えていきたい。

 

日本大富豪連盟が定める公式ルール

 まず驚いたのは日本大富豪連盟の存在だ。数か月前に初めて知ったときは、何にでも連盟や協会があるんだなと感じた。私は大富豪の他にもしりとりが好きで、しりとりを競技化して友人内で何回か大会を開いている。そのうち競技内容をブログにアップして、日本しりとり連盟を勝手に立ち上げたい。そうすると私が会長になる。人生で一回くらい会長になっておきたいなと思っていたので早く動くことにしよう。

 日本大富豪連盟のページでは『日本大富豪連盟公式ルール』というものを紹介している。定められているルールは以下の通りである(日本大富豪連盟『公式ルール』より画像を引用)。

 

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 大体のルールが把握できただろうか。ちなみに階段革命は無し。階段に8が含まれていた場合は8切り適用は無し。一度パスをすると場が流れるまでカードを出す事はできない(日本大富豪連盟『FAQ(よくある質問)』を参照した)。

 試合は4ゲーム1セットになっていて、それを3セット繰り返す。得点は各ゲーム終了時の階級に合わせて、大富豪は2点、富豪1点、貧民0点、大貧民が-1点である。各セットの4ゲーム目で大富豪を取った人はプラス1点が加算される。

 以上のルールを踏まえながら、どういった戦い方をしていけばいいか考えていく。

 

公式ルールでの戦い方

 最初のゲームは友達などと行う大富豪と同じように、自分が早くあがることを考える。先述した「相手が持っているA、2、ジョーカーの枚数を把握」「序盤は1、2番目に弱いカードを残す(8や2など、場を流せるカードを持っている場合)」「相手の残り手札を把握する」を駆使して最低でも貧民は確保したい。貧民なら次の試合も手札次第で上位に食い込むことができる。

 なぜなら貧民は1番強いカードを1枚だけ渡せばいいので、確率的には少ないが、ジョーカーを持てる可能性がある。また、2も比較的確保できることが多い。大貧民になった場合、2およびジョーカー2枚を持ってかれてしまうと自分があがれなくなるばかりか、大富豪の独走状態をアシストしてしまう。

 8が手札にあると、強制的に場を流せるので心強いが、カードの強さが14番中9番目(ジョーカー含む)と、中の下に位置するため、案外使いどころが難しい。「強いカードを出す→8切り→適当なカードを出してあがる」というパターンはよく見られるが、これは8切りを使わなくても場を流せるほど強いカードが揃っている、つまり8の使いどころがなく、余っているパターンだ。貧民以下の場合は場を流せる機会が少ないため、8を温存していると出すタイミングを失ってしまいそのまま負けてしまう可能性が高い。特にゲーム後半になるほど、強いカードが場を飛び交うからだ。個人的には階級が低い時ほど早めに使ったほうが良い状況が多いと思う。

 ジョーカーを持っている場合はスぺ3の存在を頭に入れながらプレイしていく必要がある。終盤スぺ3の存在を忘れて単独でジョーカーを出してしまい、返り討ちにあってそのままあがれず、というパターンもある。できれば他のカードと併用したほうが良い。例えば2種類のスート縛りをされていても、ジョーカーはオールマイティーなので1つでもスートが合っていれば出す事ができる。

 

 1ゲーム目が終わり、階級が決まった後は、席の位置も勝負を左右してくる。大貧民が自分の次の手番の場合、自分の番がくるまでに他のプレイヤーがカードを出してくるため、スート縛りや、富豪などに強いカードを出されて場を流される可能性が高くなる。この点に関してはなかなか自分ではコントロールができないので難しいところだが。

 序盤はあまり点差を気にしなくてもいいが、中盤(2セット目あたり)から点数に差が出てくるため、自分が点を取りつつ、トップの点数を下げる、下げられなくても点を取らせない戦法を取る必要が出てくる場面もある。

 例えば、麻雀でいう差し込み(自分の点数を失ってでも、最下位のあがりや点数の低そうなあがりにあえて振り込んで、自分が優位な立場で試合が終わるように進めていくテクニック)を使う必要がある場面もある。自分の次の手番に大富豪以外がいて、相手があがれそうだと判断したらあえて弱いカードを出して、相手を上がらせて都落ちを狙う。都落ちが決まれば、自分の点数がマイナスになることはない。

 

 得点を稼ぐには大富豪を狙っていきたいが、都落ちすると結局収支的には2試合で1ポイントとなる。つまり富豪を1回取ったのと変わらない。富豪を確保しつつ、最後の試合だけ大富豪を焦らせるようなプレイをして、自滅を狙うのも1つの手だろう。

 試合を進めながら点数を常に頭の中に入れて、戦っていく。あまり点数を気にしていないと、いつの間にか自力で勝ち上れることができなくなる。例えば1位勝ちぬけの場合、第2セット終了時点で、1位と4点差以内にいないと、自力で逆転ができない。

 

(例)第2セット終了時で自分がプラス2点、1位がプラス6点の場合

 自分が第3セットで4回連続大富豪を取った場合、2点×4+ボーナスポイント1点の合計9点を獲得できる。第2セットまでの合計と合わせるとプラス11点。

 もし1位が4回連続で富豪をとった場合、1点×4の合計4点、第2セットまでの合計を合わせるとプラス10点。

  結果として逆転ができる。

 

 ここまでつらつらと書いてきたが、気を付けるポイントは、

【試合中】

「相手が持っているA、2、ジョーカーの枚数を把握」

「序盤は1、2番目に弱いカードを残す(8や2など、場を流せるカードを持っている場合)」

「相手の残り手札を把握」

「第3ゲームまでは富豪を狙い、第4ゲームは大富豪になるようなプレイングを意識」

「貧民以下の場合、早めに8切りを使うことを意識する」

「あえて相手を大富豪にする(差し込む)」

にまとめることができる。私は、大富豪を「状況判断6:運4のゲーム」だと思っているので、試合を重ねて状況判断のスキルを養っていくのが、日本大富豪連盟に公式ルールで勝つ近道だと思う。

 

終わりに

 なぜこのタイミングでこういうネタを書いたのかというと、7月21日に第5回天下一大富豪大会という、大富豪の大会の予選があり、大富豪熱が高まってきているためである。この話を会社の後輩にしたら、「そういうのをどこから見つけてくるんですか」と言われた。もしかしたら予選に出る人がこの記事を読む可能性はあるため、手の内は隠したほうがいいのかもしれないが、大富豪は状況判断と運の要素が絡まり合うゲームなので、なかなか定石どおりにはいかない。そういう部分が面白い。

daifugojapan.com

 上のリンクから第5回天下一大富豪大会の開催要項に飛べるので、大富豪好きな人は是非出場してほしい。もしかしたら大富豪道を極めるために旅に出た父に出会えるかもしれない。

 

www.youtube.com

 前回大会の決勝の様子がYouTubeにアップされている。実況と解説がいることに少し驚いた。

 

 以前アップした記事にも書いたが、麻雀は戦略研究が進んでいて、様々な戦略本が出版されているが、大富豪はまだまだ戦略研究が進んでいないように思える。大富豪の戦略本を本屋で見たことはまだない。もしかしたらあるのかもしれないが。これはローカルルールが多すぎて、ルールを統一できていないのも要因の1つだと思う。

 

 この記事を読んで、1人でも大富豪で勝てる人が増えると嬉しい。私は大富豪に関して何の権威も実績もない平民だが。