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【一首評】それではみなさま犯罪三唱 ハンザーイ!ハンザーイ!ハンザーイ!/おいしいピーマン

それではみなさま犯罪三唱 ハンザーイ!ハンザーイ!ハンザーイ!

/おいしいピーマン(半夏生の会『半夏生の本』2019.11.24)

 

 短歌として提示されていると、基本的には57577のリズムで読もうとする。「それではみ/なさまはんざい/さんしょうハ/ンザーイ!ハンザ/ーイハンザーイ」で一応57577にはなるが、そういうリズムで読む人はおそらく誰もいないだろう。何かしらの媒体で自然に身についた、万歳三唱の時のリズムで読むことになる。上記の歌は既に短歌以外のリズムを内包している。

 内容に関しては、万歳を<犯罪>に変えるという、その一点に全てをベットしている。それ以外の要素はほとんど切り捨てているように見えて、「なぜそこに全部ベットできるんだ」という怖ささえ感じてしまう。下句にあたる部分は一字空けされずに続いていくため、途切れなくハンザーイと3回両腕を高く上げているのだろう(両腕を高く上げているとは限らないが、バンザイと同じような気持ちで読んでしまうため、ここでは万歳三唱時と同じような身振りをしていると仮定する)。どこか熱狂的な雰囲気さえ感じる。

 一点突破のような題材に、万歳三唱をする時のテンションの高いリズムが混ざると、怖さを覚えるのだなと、なんだかしみじみとしてしまった。