コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

誰もいない花鳥風月の本番

6月9日(火)

 安部公房『死に急ぐ鯨たち』を読み終える。エッセイと対談から構成された本だった。

死に急ぐ鯨たち (新潮文庫)
 

  エッセイでは儀式に関する話が印象に残っている。集団の安定化を図るための儀式めいたもの、結婚式、葬式、入学式、果てにはオリンピックまで……。涙などを利用しながら、足並みを揃えていくことで物事を集団として共有できるものへと変質させていく。1986年に発行されたものだが、今の社会にも当てはまる部分は少なくない。

 対談では主に『方舟さくら丸』に関する話が多くされている。まだ読んだことが無いため、購入することを決意する。

 文章の間に写真も載っている。文章との関連性は直接的には無いし、唐突に挿入されるのだが、かえって本の中で存在感が際立つような気がした。

 この文章を書いているのは10月なので、読み終えてから約4か月経過したことになる。本の感想は読んだ直後に書いたほうがいい。早く日記が現実に追いつくようにしていきたい。

 

6月12日(金)

Seiho『Collapse』というアルバムがある。

  実験色が少し強い電子音楽で、ノンビートの部分も散見される。

 アルバム自体もちょくちょく聴き返すが、特に好きなのはアルバムのキャッチコピーかもしれない。

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『2020年。誰もいない花鳥風月の予行演習。』

 誰もいない花鳥風月というワードが、何かが滅び去ったようなイメージを想起させる。

 このアルバム自体は2016年に発売されていて、今は2020年だ。誰もいない花鳥風月を迎えた世界を我々は生きているわけである。

 

6月19日(金)

 はじめて塩焼きそばを食べた。カップ麺売り場に行くたびに塩焼きそばの存在が気になってはいたのだが、食べ慣れているソース味の焼きそばを結局買ってしまう。さらにはカップ麺自体あまり食べなくなってしまったため、塩焼きそばは近くて遠い存在になっていた。一人暮らしをしている人の両親みたいなものだ。

 今回意を決してインスタントの塩焼きそばを食べてみたところ、案外普通だった。レモンなどをかけるとサッパリしてさらに良いのかもしれない。これで食べていないものが一つ減り、食べ物図鑑の情報が1つ増えた。全ての食べ物をコンプリートしたら、オーキド博士のところへ向かう予定だ。