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備忘録と不備忘録を行ったり来たり

究極の一人暮らし vs 至高の一人暮らし

12月13日(日)

 4年弱住んでいた新潟を離れ、群馬へと向かう日の朝はいつも通り曇っていた。通販番組を見ながら支度をしていたら、想定よりも時間がかかってしまい、荷物を抱えた状態で走って新幹線のホームまでいかなければならない羽目になった。

 それでもなんとか新幹線に滑りこみ、乱れに乱れている息を整えながら座る。心の中に大仏を建立して、息が穏やかになるのを待つしかない。

 寝不足だったため、大半の時間を眠って過ごした。睡眠時間の確保は一生のテーマであり、7時間半は確保するぞと決心しては破ってしまう。破られた決心が床の上に積もっていき、天井にみるみる近づいていく。次に住む地域では紙ゴミが2週に1回のペースでしか回収日が存在しないため、なるべく破らないようにしないといけない。

 

 最初はバタバタしたが、その後は特にトラブルもなく約束の時間に不動産会社にたどり着いた。そこで鍵と書類を受け取り、アパートまでの道をのんびり歩く。本来なら変哲ばかりの道や家や店を歩いていくのだが、今回は以前住んでいた場所に近いため、土地勘がある。新鮮さを味わうためにあえてほとんど通ったことの無い道を選んだ。

 実家周辺を散歩したときにも思ったことだが、長年住んでいても通ったことのない道はいくつもある。私はいずれかの時期に死ぬことが決まっているが、それまでに1回も通らない実家近くの道もおそらくあるだろう。

 

 アパートに着き、部屋に入る。初期のアバターみたいな部屋がそこには待っていた。 

 2つ部屋があるため、1つは食事兼寝るスペース、もう1つは作業をするためのスペースに分けようと部屋の内覧時から考えていた。それらのスペースに何をどの位置に置くかも考える必要がある。

 究極の一人暮らしをしたいという気持ちをずっと抱えてきたのだが、今のところ叶えられたことがなかった。引っ越した直後は問題ないのだが、段々と散らかるようになり、最終的に自堕落の鏡になっていく。今回こそは上手に部屋を活用しよう、そうすれば家での作業も捗って、私の中のいくつかの問題は解決へと導かれていく。

 究極の一人暮らしと至高の一人暮らしは、どちらがより良いものなのだろうか。

 

美味しんぼ(1) (ビッグコミックス)
 

 

 何かしらをして待っていると、引っ越し業者がやってきた。荷物を置く場所の支持をする。右・左・右・右・左・キッチン・左。そういうリズムゲームミニゲームとしてプレイできるソフトがプレイステーションにあった気がする。

 すべての荷物を運び終えると、引っ越し業者は去っていった。大体の引っ越し業者は運べる荷物がなくなるとその家での活動を終了する。

 

 しばらくして引っ越しを手伝いに友人がやってきた。とりあえず必要な家具を買いにニトリに向かうことにした。

 ニトリではまずカーペットを買おうとしたが、部屋のサイズと一致するものが全て取り寄せになってしまうとのことで、ラグで我慢することにした。もちもちを売りにしたラグを見つけ、購入することにした。部屋にもちもちがある生活、想像しただけでワクワクしてきませんか?

 その後もカーテンやCDラック、作業用の机と椅子、生活するうえでよく使う小物類を購入した。特に作業用の机と椅子はずっと買おうと思っていた。

 低いテーブルで地べたに座りながら作業をしていると、眠気がやってくる確率が高いような気がする。地面という横たわれるものと距離が近いためだろうか。また、背中も丸まりがちになり、姿勢も悪くなる。気が付いたら丸くなっていて、ぼうぎょがあがるかもしれない。

 この文章も作業用の机にパソコンを置き、椅子に座りながら書いているが、気持ちがだらけにくい。買ってよかったと思う。

 結果として、前に住んでいたアパートに引っ越しした時よりもかなり多く家具を購入した。究極の一人暮らしをするためには必要な出費だ。至高の一人暮らしをするのにも必要だと思う。

 

 

 アパートに戻り、カーテンを取り付けてカーペットを敷く。一気に初期アバター感が減った。その後は友人に手伝ってもらいながら家具の組み立てを行った。生活っぽさがさらに出た。

 もう外は日が沈んでいたので、焼肉に行くことにした。友人の頼んだわかめスープの量がやけに多かった。

 年に数回しか外食に行けなかった子供の頃と比べ、比較的に自由に外食できるようになった今、外食自体へのテンションの上り幅は年々小さくなっているような気がする。それでも焼肉は、まだまだテンションを大きく上げさせてくれる。また、外食調理の過程でテンションが上がるのは、外で食べる焼肉くらいかもしれない。

  夕ご飯を食べた後は友人と別れ、新居に戻った。お風呂に入り、荷物の整理などをして寝ることにする。家具と箱だらけの部屋はまだまだ私に馴染んでこない。朝起きても、数日は知らない部屋にいるなと思ってしまいそうだ。目が覚めた時に、見慣れないなと思わなくなれば、新しい部屋に身体がなじみ始めたと言えるだろう。

 究極の一人暮らしをすることができるのか。まずは段ボールを少しずつ開けて、部屋を部屋らしくしていくところから始めよう。