とりあえず、会場の空調がちゃんと効いていて良かったということに尽きる。
『ZINEフェス文芸-詩歌と日記-』というイベントにメゾン文芸部というサークルで参加してきたので、イベントについて思い出しながら感想を書いていきたい。
ZINEフェスというものの存在を知ったのは今年の春頃だった。調べてみるとZINEフェスは様々な場所やテーマで開催されているらしい。その中の一つに『ZINEフェス文芸-詩歌と日記-』というものもあった。短歌冊子や合同小説集の在庫とともに日々を送っていたので、少しでも在庫を他の人のもとへ送り出したいという気持ちは常に持っている。時期的にも締め切りなどに追われるタイミングではなかったため、参加を決意した。だが決意が行為に変わるのに時間がかかり、気がつくと一般受付は終わって初出店のブースのみ受付可能な期間になっていた。私のサークルはZINEフェスに初出店だったためどうにか網に引っかかり、予約を完了させた。
ZINEフェスには「告知協力プラン」という、指定された時期に宣伝を行うことで出店料が安くなるプランがある。宣伝自体は特に苦ではないのでそのプランに申し込み宣伝を行った。既刊だけなので特段新たに用意するものもなく当日を迎えた。
電車に乗り込んで一息ついたあと、会場での設営について考えはじめる。設営には布や立体本棚が必要で……と思ったところで足の周りが妙にスッキリしていることに気付いた。設営道具と短歌冊子を入れたスーツケースがない。電車がちょうど駅に着いたタイミングだったため急いで降りた。お腹が締め付けられる中、乗り換え案内を検索するために指は素早く動く。幸い最寄り駅を出発して10分かからずに異変に気付いたため、サークル開場時刻から40分遅れで会場に着けそうだ。頑張れば開催時刻の11時にギリギリ設営が間に合うかもしれない。とりあえず一緒に参加する友人に謝罪のメッセージを送る。そこからスーツケースを回収し、もう一度目的地である浜松町に向かって出発した。気持ちを落ち着かせるためにグリーン車の切符を買いゆったり座ろうと思ったが、見回しても空席は見当たらなかった。結局グリーン車のある両で立ったまま時をやり過ごす羽目に。ふにゃふにゃになった心をNUMBER GIRL『NUM-HEAVYMETALLIC』を聴いて鋭角にしながら目的地へ。
駅から会場までの道は歩いて5分とそこまで遠くはない。しかしスーツケースを持ったまま1秒でも早く到着しようとすると話は別だ。そういうレースが地方のどこかで村おこし的に行われているのかもしれない。体力のなさを呪う。この世は何をするのにも体力があったほうがいい。友人と合流し、急いで設営を開始。机に布を敷く、立体本棚やポスター立てを組み立てる……テキパキとこなしていく。その結果、10分ちょっとで設営を終わらせることができた。既刊かつ短歌冊子しか今回は用意しなかったため、レイアウトに時間を取られなかったことが要因だろう。その後定刻になっても特にアナウンスがなく、あれ?と思っていたところに主催者からのアナウンスがあり開場。拍手をするのはどのイベントでも共通なのだろう。
両隣のブースの方と時々談笑をしながらやってくる人々を眺める。会場の規模がとても大きいわけではないため(『ZINEフェス文芸-詩歌と日記-』、同フロアで同時開催の『ZINEフェス写真』を合わせるとが250組前後とのこと)、片っ端からブースを見ていく人がそこそこいたように思う。そのため、手にとってくれる頻度は文学フリマ東京よりも多い気がした。13時〜14時あたりは人が少し多くなったが、それでも混みすぎずゆったり見るのにちょうどいい来場者数なのかなと感じた。
今回頒布した短歌冊子の中には4~5年前に作ったものもある。そのときはまだ連作を作るときにあまりコンセプトを固めていなかったので、冊子の説明をしづらい感覚があった。短歌に関する考え方も今とは異なっているため、今の自分と多少距離ができてしまっている。無邪気な時期だったと思う。それでも「ゆかりのない土地で作った短歌を収録しています」「記憶の風化をモチーフにした短歌が入っています」など、一言二言で説明できるような文言で見本誌を読んでくださる方に声をかけた。声かけの是非はずっと課題として持っていたが、最近は本の紹介を簡潔にして、あとは質問されたら答えるというスタンスをとっている。
今回は基本的に立って接客をしていた。座って接客をすると、ポスターとかぶってしまって相手の顔が全く見えないからだ(下記画像参照)。

また、来場者と同じ目線になるため、ブースをちらちらと伺っているとき声をかけやすいというメリットもある。この接客方法も今年になってからスタンスがようやく固まった。イベント出店から約9年の歳月が経っていた。やたらめったら待たされるコロッケは何年待つのだろう。
46年待ちだった。
今回は4種類冊子を持っていったが、そのうち2種類は1、2冊しか在庫がなかったため、早い段階で売り切れになった。残ったのは4~5年前に出した短歌冊子が2種類。こちらもぽつぽつと売れていった。結果、15時頃には残りの冊子も売り切り、完売となった。完売を経験したことはこれが初めてだったため嬉しさがはみ出てしまい、友人とハイタッチ。両隣のブースの方からも祝福の声をもらった。
メゾン文芸部、全て完売となりました。
— メゾン文芸部 (@mezon_bungei) 2026年8月2日
お越しいただいた皆様、ありがとうございました!#ZINEフェス文芸 pic.twitter.com/om8mMCZqrs
嬉しさが蘇ってきたので、落ち着くために餃子を包んでいる安部公房の画像を貼る。

16時になりイベントが終了。その後は撤収作業を行い浜松町を後にした。夕食は打ち上げも兼ねて牛タンを食べた。電車で気絶するくらいの疲れはあったもの、ご飯をおかわりした。家に帰ると体力の限界で、部屋の電気もつけっぱなしで眠った。
今回ZINEフェスへの参加は初めてだったが、途中で会場を一通り巡り、目星をつけていたブースをメインに回りつつ、偶然性に身を任せてブースの見本誌を手に取ることができた。規模感も来場者数もちょうど良いように思う。また機会があったらZINEフェスに参加したい。友人もZINEフェスに好意的な反応だった。
直近の予定では10月頭に文学フリマ福岡12に出る予定だが、詩歌のジャンルで申請しているのに短歌が載った冊子が1つも在庫がない状態だ。そのため個人誌の『なるほどね』を少部数再版しようと思っている。また、11月の文学フリマ東京43では個人誌の新刊が出せればと思っているが、そこまでのキャパシティが今の私にあるかは微妙なところだ。今の段階では、新作の短歌を何かしらの形で出せればいいということにしたい。

