コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

煙を吐き出し笹団子は進む

 新潟に行ってきた。

 新潟は北のほうにあるらしく、北のほうに土地があると雪が降りやすいらしい。私は今まで夏にしか新潟に行ったことがなく、冬に行くのは初めてだった。雪で靴がやられると足が死んでしまうので、生活防水と書かれた靴を装備し、さらに防水スプレーを勢いよく吹きかけて水属性に耐性をつけた。シャッターにスプレーで書かれた落書きは、おそらく不良がやっているのだが、どういった経緯で落書きをするのだろうか。もしかしたら美術の成績が良かった不良が落書き担当になるのかもしれない。美術の成績が良い不良は日々シャッターや柱に落書きを行う。引退する日に先輩から譲り受けたスプレーを後輩に渡すのだろう。

 天気予報を見ると、かなりの大寒波が襲来するらしく、数年に一度の大雪だという。なぜそんな天気をツモってしまうのか。まあ、意外に大したことないかもしれないなと思いつつ、新幹線に乗った。

 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という小説の有名なフレーズがあるが、実際群馬県あたりでトンネルに入り、数分して抜けると雪が積もっていた。川端康成みがあるなと思いつつ(川端康成みとは一体)、もう一度トンネルを通過すると、ハチャメチャに雪が降っていた。建物は皆関口メンディーの髪型みたいになっている。

 越後湯沢には人を寄せ付ける何物かがあるらしい。人を寄せ付けるものは大体宗教施設かラーメン屋なので、どちらかが越後湯沢にあるのだろう。複合施設なのかもしれない。

 その後繰り返しトンネルを通過し(天丼)、何回目かの時に突然窓の景色がホワイトアウトした。ただただまぶしかった。雪はまぶしいことを私は知らなかった。

 そこから先は寝てしまったので覚えていない。くるりの『日本海』という曲には「煙を吐き出す餅屋 向こうに見えるは露西亜」というフレーズがある。あと「なう」のコーラスも存在する。良い曲なので聴いてみるといい。そして新潟駅に到着した。

 雪は想像の1.4倍降っていた。靴は濡れずに済んだが、ズボンの裾から雪がこぼれ落ち、靴下を軽く濡らした。学びだ。

 新潟で用事を済まし、お土産を買うことにした。笹団子が有名らしいと聞いていたので、絶対に笹団子は買わないぞと心に決め、笹団子を買った。

 帰りの新幹線では柿の種チョコを飲んだ後ずっと寝ていたのであまり記憶がない。柿の種チョコと睡眠導入剤を間違えていた可能性がある。新潟らしいものをあまり食べられなかったので残念である。皆さんは新潟らしい食べ物と浮かべて何をイメージしますか。この質問で、あなたが心から信頼しているものが分かります。

 最寄り駅でラーメンを食べ、バスに乗った。今新潟が存在しているかは分からない。

 後日、友人に笹団子を配った。笹団子は互いにつながれていて、すべてハサミで切り離すと逃げていった。今頃煙を吐き出しながら新潟行きの新幹線に乗っているかもしれない。