コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

約1000円払って布をしわしわにするという贅沢

4月12日(火)

 髪を切りに行く。今住んでいる土地で髪を切るのはおそらく最後になるだろう。

 美容師の方とコミュニケーションを取るのは苦ではないのだが、相手のバックグラウンドが分からない状態で自分の趣味に関する話をするときは処理能力が落ちる。そこそこ音楽を聴いたり読書をしたりしているので一応趣味と言えそうだが、どういったカテゴリーの音楽を聴くか/本を読むかという話に大体繋がっていくためあまり持ち出したくない。単純に伝わらないからだ。

 今回はなぜか読書の話になり、普段どういった本を読むのかという話になった。その時はレイモンド・チャンドラーの短編集を読んでいた。

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作者名を出して相手が知らなかったときの空気が嫌だったので、「最近は探偵ものとか読んでますね」と答えたところ、結果としてシャーロックホームズシリーズを読んでいることになった。シャーロックホームズシリーズは読んだことが無かったため、これ以上ボロが出るのを恐れ、読書→休日の過ごし方→家飲み→お酒での失敗談という連想ゲームでシャーロックホームズを遠くに追いやることができた。

 その後も話が各駅停車のようになりながら、髪は短くなり、ストレートパーマもかけられた。

 休日の過ごし方について、何か良い手札を持っておきたい。

 

4月16日(金)

 引っ越し前日になった。荷造りの進捗としては7割いくかいかないかくらいだった。  

 荷造りだけこなすのであればどうということはないのだが、通帳の解約、荷造りにかまけてさぼっていた大量の服の洗濯・乾燥、ゴミの自己搬入などを今日中にこなさなければならなかった。小学校の夏休み終わりみたいなことを、20代後半でもやっている。

 荷造りを少し進めた後、コインランドリーへと向かう。思ったより服が多く、どうにかこうにか詰め込む。乾燥を含めると1時間ほどかかりそうだったため、その間にホームセンターと銀行に向かった。

 ホームセンターはスムーズだったが、銀行はかなり混み合っていて、前の道から銀行に入るだけでも一苦労だった。法則性のないパズルをやらされている気分になる。

 どうにか空いている駐車スペースを見つけ、解約手続きへと向かったが登録されていた印鑑が違った。印鑑を変更するか取りに行くかの二択を迫られ、そろそろ洗濯が終わることもあり後者を選ぶ。

 コインランドリーに到着し、洗濯機を開けてみるとしわしわでところどころ濡れている布の固まりが出てきた。生き残りをピックアップして、残りを2つの洗濯機を使ってもう一度洗いなおす。1000円近く払って布をしわしわにするのはかなりの贅沢なのではないだろうか。

 正しいと思われる印鑑をもってもう一度銀行へ。解約とともに部屋を追い出された数百円が財布に引っ越してきた。

 時間は15時を過ぎていて、まだ昼ご飯を食べていなかったがまだやり残したことがある。ゴミの自己搬入だ。こちらは最低限の時間を投入しただけで滞りなく終わり、帰りに丸亀製麺でうどんを食べた。目の前のテーブルで店員がうどんと丼ものを置いてどこかに消えていき、店を出るまで戻ってこなかった。お供え物だったのかもしれない。

 コインランドリーに向かい、洗濯物をチェック。まあ許せるレベルにはなっていたので回収して家に戻った。

 

 その後は荷造り・夕食・スーパー銭湯・荷造り・就寝という流れだった。ポーカーならワンペアで、正攻法で戦っても旨味は少ないだろう。