コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

文学フリマ東京35に参加しました

 2010年代まで、文学フリマ東京とは面白そうな本や冊子を物色しつつ、出張販売しているインド料理屋(ターリー屋)でインド感を味わうことができるイベントだった。

 しかし、コロナウイルスの影響により飲食の出張販売がストップしてしまった2020年代文学フリマ東京ではインド感がすっかり無くなってしまった。私はインドに一度も行ったことがないため、ここで言うインド感は想像を積み上げてできたものである。

 

 2022年11月20日文学フリマ東京に『メゾン文芸部』というサークルで参加した。毎年秋に参加していて、合同小説誌と個人の短歌冊子を出している。今年で出店者側としては6回目の参加だ。

 サークルとしての始動は6月半ばで、そこから進捗が全く芽生えない夏が過ぎ、9月頃から小説の執筆を開始した。例年10月半ばあたりから心の中に風が吹くようになり、原稿執筆→校正→カバー・表紙デザイン→入稿→その他諸々の準備を強風で髪を乱しながら行っていくのだが、今年は例年より小説の校正を行うタイミングが早く余裕があった。そのため睡眠不足にも比較的悩まされなかった。サークル内に学習という概念が認められたのだ。

 合同小説誌に対し短歌冊子の作成はかなりタイトなスケジュールになり、お品書きの作成に少なからず影響を与えた。笹井宏之賞へ応募する連作を作り終えると、毎年抜け殻みたいになる期間がある。今年は抜け殻期間が長かったのもタイトなスケジュールになった要因の一つだろう。

 それでもお品書きに間違いがないかメンバーと確認したり、値札を前日に用意したりなど準備にも余裕を残した状態で当日を迎えた。

 

 当日。8時前の電車に乗り品川駅に向かう。キンコーズでお品書きを印刷しラミネートするためだ。気分を高めるためにThe Chemical Brothers『Dig Your Own Hole』を聴きながら揺られていたが、大半は寝ていた。カフェインを摂ったあとに眠ってしまったような気分だ。

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 品川駅に到着すると思ったより肌寒く、お腹の調子が一気に悪くなる。2回満室のトイレを引いてしまい、品川は満室のトイレしかないのかという気持ちが冷や汗とともに浮かび上がってきていたが、3箇所目で空室のトイレを見つけることができた。

 気を取り直してキンコーズに向かう。印刷機に案内してもらい、さあお品書きを印刷するぞと意気込んでいたがUSBが反応しない。近くにあったユーザーガイドを確認するとUSB2.0までしか対応していないとのことだった。10年近くUSB2.0のものを使っていたのだが、今年の秋に3.0のものに変えたのが完全に裏目に出てしまった。昨年も印刷後にブース番号の間違いに気づき心が折れそうになったため、品川のキンコーズと相性が悪いのかもしれない。

 幸い、ドライブにお品書きなどの印刷物データを念のため入れてあったため、パソコンから印刷を行うことができた。その後もラミネート途中でフィルムが無くなるなどのちょっとしたハプニングはあったものの、無事印刷を済ませることができた。

 昨年はここから大井町駅の100均にお品書き修正用の白いペンを探しに駆け込んだが、今年は時間にも余裕がある。昨年は100均へと走る最中にTOKIO『雨傘』を聴いていたことも覚えている。今年はGRAPEVINE『新しい果実』を1曲目から聴いていた。

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 印刷物も刷り終わり、浜松町駅でうろついていたがやることも無かったため流通センター駅へ向かう。浜松町で吸い込まれた乗客の大半が流通センターで吐き出され、ワドルディみたいな気持ちになった。星となった一団が会場へと向かっていく。

 近くのローソンでポカリスエットを買う。ポカリスエットを見ると時々、大学生の前半を思い出す。ちなみにヤマザキの3個入りの団子を見かけると大学生の後半を思い出す生き方になっている。食べ物に関しては同じものを飽きるまで買う傾向がある。

 会場に入って設営作業に取り掛かるが、年1回しか設営を行わないためか、いつまでたっても慣れない。図工で立体物を作るのがかなり苦手だったのも影響しているだろう。中学の時に作った1階より2階が大きい金閣寺は、いつごろ捨てられたのだろうか。

 友人が途中で合流し設営のスピードが上がる。値札を用意していたこともあり、今年は開催時間までに準備が間に合った。昨年は間に合わなかったのでこれも進歩と言えるだろう。

 12時になり、拍手と共に開場した。自分達のサークルは毎回開始20分は売れないのでのんびりと待つ。開始15〜20分くらいで新刊の短歌冊子が1冊売れ、その後もぽつぽつと売れる。しかし新刊の小説合同誌は売れない。会場が分かれてしまったのも影響したのかもしれない。結局昼食で店番を離れる13時半になっても小説合同誌は売れないままだった。

 昼食を取る前にチェックしていたサークルでお目当ての冊子や本を買う。9割が短歌関係だった。本当は挨拶などをしたほうが良いのかもしれないが、今年はSP(喋るポイント)が足りなかったため断念した。来年こそはと思う。

 会場を出て、駅前のゆで太郎を見てみると行列ができていた。去年は行列に並んだがあまり良い記憶にならなかったため、モノレールで大井競馬場駅に行く。休日おでかけパスのおかげで途中下車し放題だからこそ使える方法だ。

 大井競馬場駅から歩いて5分ちょっとのところにある複合商業施設でうどんを食べた。結構噛みごたえのあるうどんだった。最近はラーメンよりそばやうどんを食べた方が後悔することが少ないことに気付きつつある。どんどん人生からラーメンが後退していき、代わりにそばやうどんが幅を利かせる事になるのかもしれない。

 昼食を終え、ブースの様子を見にいくとどうやら小説の新刊も売れたとのことだった。これで今年も一安心だ。まだ店番までは時間があるため、まだ買えていなかった冊子や本を買い、休憩スペースで時間をつぶした。

 15時半ごろに再び店番に戻り、ぽつぽつと売れていく小説合同誌や短歌冊子を見送った。短歌や表紙のデザインについてお褒めの言葉をいただくこともあり、励みになった。中身だけでなく表紙にも力を入れているつもりなので嬉しい。

 あっという間に17時になり、文学フリマは終了した。後片付けをしつつ、売上の速報を確認する。新刊の販売冊数に関しては去年と同じだった。小説も短歌も1年間活動らしい活動ができていない中では健闘したほうな気がする。販売冊数について店番として参加していたサークルのメンバーに伝えると、おおむね自分と同じような反応が返ってきた。

 片付けを終えて会場を後にし、中華料理のバイキングに行った。胡麻団子が好きで、以前バイキングで8個ほど食べてお腹を壊してしまったことがあった。基本もちもちしたものは好みで、シャキシャキしたものは苦手だ。何個食べられるだろうかという話を友人たちとしていたが、以前の反省や疲れもあり3個しか食べることができなかった。酸辣湯麺の酸っぱさが体に沁みた。30歳も近くなり、酸辣湯麺の美味しさに気づき始めている。

 

 こうして、文学フリマ東京35は終了した。小説も短歌もほとんど活動をしていなかったが、販売数が減らなかったので少し安心した。しかし裏を返すと、もう少し積極的に活動をしないとこれ以上の販売数が見込めないことも分かってきた。来年は今年よりも1冊でも多く売れればと思う。

 また、来年以降も会場が2つに分かれるらしい。短歌と小説のエリアはそれぞれ別会場になることが予想される。短歌を見に来る人に小説を、小説を見に来る人に短歌も興味を持っていただくにはどうすればいいのか考える必要がありそうだ。

 

 新刊・期間共に通販も行っているので、こちらもチェックしていただけると嬉しい。

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