コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

第二十六回文学フリマ東京に行ってきました

 先日行われた文学フリマについて書こうと思う。

 

 5月6日(日)に東京流通センターにて、第二十六回文学フリマ東京が行われた。私は前回と同様、出店者側として参加してきた。前回は『メゾン文芸部』という、大学時代の友人たちで構成されるサークルでの出店だったが、今回は普段参加させていただいている『空き瓶歌会』という、普段歌会を行っている人々の中に混じっての出店だった。

 前回は短歌と小説の冊子をそれぞれ1つずつ頒布したが、今回は短歌の冊子のみを個人としては頒布した。

 本当はフリーペーパーを出そうかなと考えていたのだが、発作的に冊子が作りたくなったため、3日間という突貫工事で冊子を完成させた。名前は『Vapor?』である。

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 普段私のTwitterやブログを見てくださっている方はご存知かもしれないが、私はVaporwaveというジャンルの音楽をよく聴いている。Vaporwaveをモチーフにした連作を1つ作ったため、そのタイトルをそのまま冊子のタイトルにした。また、友人が撮った写真が個人的にかなりグッときたため、それをグリッチ加工ができるサイトで加工したものを表紙にした。個人的にかなり気に入っている。ちなみに裏表紙は飛行機に乗ったときの写真をグリッチ加工したものだ。

 突貫工事の関係上、20首しか入れることができなかった。もう少し新作を入れられると良かったのだが。

 印刷所にデータを送った後はもうどうすることもできないので、ひたすら誤字脱字が無いことや表紙が思い通りに印刷されていることを祈った。

 

 そうこうしているうちにゴールデンウィークが始まった。ゴールデンウィークの前半、私はボウリングや野球をして過ごした。そのため、後半は筋肉がバキバキすぎて上履きになった。

 ゴールデンウィーク後半は石井僚一さんの『死ぬほど好きだから死なねーよ』批評会にも参加した。参加時の様子は以前書いたため、よろしければそちらをご覧いただければと思う。

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 批評会に行った後、そういえばポップを作っていないと思い、慌てて作ろうとしたが眠気に負けてしまったのと、必要以上に通販番組を見てしまったことが祟り、そのまま朝になった。

 

 なんとか目覚め、体を起こし、準備をして電車に乗った。サークル入場が開始する数分前になんとか会場に着き、行列に加わろうとする。意外に列が少なく安心した矢先、建物の角にも列が続いていることに気づき、動揺する。と同時に、沢山の人が文学をやっていて、それぞれにそれぞれの文学があるのだなとも思った。

 10時を少し過ぎたあたりでサークル入場が始まる。チケットを箱に入れ、カタログを貰って自分のサークルの場所を目指す。地図を見ていたため、迷わずに済んだ。

 数分して空き瓶歌会のメンバーである香村かなさんと有村桔梗さんが現れる。私は段ボールに入った自分の冊子をチェックする。自分の思い通りの仕上がりになっていて、安心する。

 準備を終え、ついに一般の方々が入場してくる。入場のアナウンスとともに拍手が起こる。この拍手を聞くと、これから文学フリマが始まるなという気持ちになる。これは私の始まる感なので、皆さんは思い思いのところで始まる感を覚えてくれればいいと思う。

 続々と人が会場に入ってくる。私には前回は短歌の冊子が9冊売れたので、今回は2ケタにのりたいという目標があった。前回もそうだが、1冊目が売れるまでがかなり緊張する。1冊も売れないのではないか、という思いはどうしてもかき消せないからだ。

 人の流れをしばらくは不安げに見ていたのだが、入場から10分あたりで1冊目が売れる。全力で安堵する。その後もぼちぼちと売れる。

 Twitterで交流のある方とも話すことができた。はしごさんという方がいて、その人が作った『父と子と精霊の御名を忘れてくコミュニケーションさよなら帝国』という歌が、私が短歌に興味を持ち始めるきっかけになった。こうして冊子を売っているのもはしごさんの存在があるからだと思う。はしごさんは今回、既刊の小説を頒布していたのだが、そのタイトルが私の紹介したアルバム『群馬ハイヌーン』から取られたと聞いて、驚きがあった。群馬ハイヌーンについては以前紹介しているので皆さんも読んで是非ダウンロードしていただきたい。寝る前に流すのに滅茶苦茶良いアルバムです。

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 また、前回私の短歌冊子を購入してくれた、かみしのさんとも話をすることができた。かみしのさんはつよい短歌を作っている人で、最近はツイートがバズったりしていた。

【私信】かみしのさんすみません、まだ『永遠ごっこ』読めていません。読み終わりましたら感想を書きたいと思います。

 

 前回より良いペースで冊子が売れ、午前中には前回の9冊を超えた。目標を午前中で忘れることができて良かった。

 売り子をしながら、時間を見計らって目星をつけていたものを買いに行く。胎動短歌会のブースで冊子を購入しようとしていたところ、ブースの売り子の方に、「隣にいる人、木下龍也さんですよ」と言われ、右を向いたら木下龍也さんで、ヒエーになってしまった。短歌が範囲外になっている方にはすごさが分かりづらいかもしれない。あなたが好きなジャンルの、一般で流通している作品を全部購入するくらい好きな方が、目の前にいると思ってくれれば想像しやすくなるかもしれない。こういう時どのような行動をとるのが正しいのかわからなかったため、とりあえず握手をしてもらった。

 その他のブースでも、気になった者はどんどん購入していった。行動範囲が狭かったせいか、ほとんど短歌系の冊子や本になった。次回は別ジャンルも見に行きたい。売り子に戻ると、前回も差し入れをくださった方が今回もいらっしゃて、差し入れを頂いた。Twitterのアカウント名をお伺いしておけば、直接感謝を伝えることができるのですが、分からないためこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。見てくれていると良いのですが。

 また、桔梗さんの歌集はかなり売れ行きがよく、ファンの方がサインを申し出る一幕もあった。皆さんはサインをするとき何を書きたいですか? 私は「こんにちは!」です。

 その後再び売り子をしながら、時間の空いた時にインドカレーの出張販売の店に昼ご飯を買いに行った。前回はバターチキンカレーを食べたので、今回はナッツの入ったナンとジャンボチキン串、タピオカの入ったチャイを買った。ジャンボチキン串は食べ応えがあって美味しかった。ナッツの入ったナンは、食べた瞬間に私の食べ物というフォルダの中に新しいファイルが作成された。タピオカ入りチャイはスパイスが効いていた。インドを舌で感じていたが、私はインドに一回も行ったことが無いため、感じたのは架空のインド感である。

 その後、木下龍也さんが空き瓶歌会のブース近くを偶然通りかかったので、たまたま持っていた『きみを嫌いな奴はクズだよ』にサインをお願いした。了承してもらえたので、サインペンを取り出そうとしたが、動揺してサインペンを探す才能を無くしてしまった。かなり焦ったが、なんとか売り子をしていた桔梗さんにサインペン貸してもらったため、事なきを得た。また、歌集になぜか他人の名刺が挟まっていた。なぜだ。

 その後、売り子をしながら立ったり座ったりお金を受け取ったり冊子を渡したり言葉を発したりしていると、16時半になっていた。段ボールに残った冊子や買った冊子を入れて、受付に持っていき、17時前に片づけをした。こうして今回の文フリが終了した。

 

 今回は15冊をその場で売ることができた。前回は9冊なので少し増えた。また、通販なので購入してくれた方もいたり、友人も購入してくれた(まだ発送できず、申し訳ない)ため、当初の予定よりは早く在庫が減っている。

 今回、私の作った冊子はかなりページ数が短く、短歌の収録数も20首しかないため、立ち読みで全容が明らかになってしまうことに気づいた。そこに良い短歌が入っていれば、あらためて読み返してくれるかもしれないが、良いと思う歌が入っていなければおしまいである。次回はもう少し、ボリュームを増やしつつ、連作のクオリティを上げていきたい。

 文学フリマは、作者の最新作を購入できる場所である。その人がここ最近どんなものに興味関心があり、それがどのように作品へ反映されているのかを知ることができる。こういった場は文学系なら文学フリマ、漫画やイラストならコミケコミティアなどの同人誌即売会でないとなかなか触れ合う機会がない。また、読者と作者、作者と別の作者、読者と別の読者が交流できる場も同人誌即売会ならではの利点だと思う。こういった場があることに感謝しながら、良い作品が作れるように努めていきたい。

 

【宣伝】

BOOTHにて、文学フリマで頒布した短歌冊子『Vapor?』を販売しています。値段は200円+送料180円で計380円となっています。よろしくお願いいたします。

komugikokomeko.booth.pm

 

【予告】

第27回文学フリマ東京で、『メゾン文芸部』として出店を予定しています。小説と短歌の冊子を頒布予定です。よろしくお願いいたします。