コムギココメコ

備忘録と不備忘録を行ったり来たり

空気系『simple life』

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 2018年リリース。空気系の1枚目の作品。

 Vaporwaveの中には、signalwave(あるいはbroken transmission)というカテゴリがある。音楽性としては、昔のCMやテレビ番組の一部をスクリューしたものにフィルターをかけて、ループさせている作品が多い。1曲1曲がかなり短いものが多く、あっという間に次の曲、次のループへ移行するのでテレビをザッピングしているような感覚にさせられる。今回紹介するアルバムも以上の例に当てはまっている。17曲で19分と収録時間は短い。

 曲名を見てみると、朝起きてからの行動が時系列的に並んでいる。まるで朝の行動をダイジェストで見ているかのようだ。フィルターやスクリューのかけ方が露骨ではないため、ドロドロと溶けていくような曲は無く、穏やかでのどかな、少しだけ眠たいような雰囲気が曲全体に漂っている。晴れた休日の朝に、少しだけ早起きできた時のイメージが浮かぶ。

 全体的に使っているサンプルが古いのも特徴的である。7曲目の『congratulations』で出てくる『小林ゆかり』という人物は、1960年代に子役として有名だったらしい。また、10曲目の『simple』で外人(?)が歌っている曲は『どこまでも行こう』という、1960年から70年代にかけて愛された曲だったりと、よくあるsignalwaveで使われるサンプルより10年~20年ほど古い。現在とかけ離れればかけ離れるほど、サンプリングされる素材は牧歌的な性質を帯びるのかもしれない。

お守りは神の物販

 数年にわたり年末に楽しい予定を入れてみると、その想いがピークに達するのが、実は12月22日あたりだってことが分かった。楽しい予定は12月29日から始まったので、大体1週間前くらいだ。大体ピークは前にやってくる。遊んでいる最中は何も考えないので、気が付いたころには、楽しいではなく、楽しかったに変わっている。自分の家に帰っているときの電車では、良い思い出も大体咀嚼しつくしていて、後は平日をいくつかのパターンで恨んでみたりするだけだ。

 

 12月29日に中学の友人と居酒屋に行った。中学は生き方の方向性がバラバラな人たちが集まれる最後の場所で、そういう友人と話していると、予想外の角度から言葉が飛んできて楽しい。

 楽しさで計算が狂ってしまい、鶏の半身揚げのボリュームを大幅に間違えて、人数分頼んでしまった。後々メニューを見てみると1皿で2~3人前らしい。テーブルがアメリカになってしまった。前日の飲み会でお腹を爆発させていた自分は、鶏を食べまくったから味噌汁しか飲めない体にされてしまった。

 

 次の日は大学時代の友人と居酒屋に行った。もつ鍋を食べた後、時間があった人々でサイゼリアに行った。時間がなかった人は急いでマックへ行ったらしい。どちらを選んでも高校生っぽかった。今の高校生もマックやサイゼリヤに行っているのだろうか。もう、高校生が分からないものになってしまっている。

 サイゼリアでは、クールポコのネタでせんちゃん部分だけを抜き出すとどうなるのかという話が出た。普段何気なく過ごしていると気が付かないかもしれないが、せんちゃんだけ抜き出すと、嘆いて、餅をこねて、また嘆く人になっている。ダメ押しで嘆いている事実を、なかなか正面から受け止めることはない。気付きだった。

 

 大みそかは家でフワフワしていて、2階から1階を行ったり来たりしていた。父親がテレビでオートレースだかボートレースの中継を見ていた。オッズが画面に映っているときに流れている音楽が、かなり聴き流せる音楽で、こういうところを掘っていくと案外面白いのではと感じた。オッズ・ミュージックとでも名付けておこう。その後は紅白歌合戦を見て、2019年に無事移行したことを確認した後、眠った。

 

 元旦は5時くらいに起きて、友人と初日の出を見に行った。かれこれ7、8年ほど友人と初日の出を見に行っているが、毎回集合時間が早く、2019年になるまで誰も不思議に思わなかった。初日の出ポイントには約1時間前に着いたため、住宅の輪郭さえ曖昧だった。初日の出を無事に見て、地元の神社でお参りをした後、来年はもっとゆっくり来ようと誓い合って別れた。

 

 

  その後は昼過ぎまで寝て、友人と神田明神へと向かった。人が結構並んでいたが、お賽銭を投げて拝むだけなので、回転率は良かった。その後は物販コーナーに行き、お守りを買った。

 

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 乾燥する口の開け方だ。

 別の日には、友人とボードゲームカフェに行った。1人遅刻していたので、最初にすぐ終わりそうな『ストライク』というゲームを行った。さいころを投げ合ってぞろ目を作るのが目的のゲームで、すでに場に出ているサイコロに投げて、目を変えても良い。力加減を考えないと場外に出てしまう。友人にバーサーカーがいるので、何回も場外へはじき出していた。

 その後は、『ベガス』『テストプレイなんてしてないよ』『カルカソンヌ』『ドミニオン』を行った。運要素が強いゲームはごり押しができたが、戦略的なゲームは戦い方に気づく前に負けてしまった。5時間ほど遊んで帰宅した。

 その後はごろごろぐだぐだふわふわもちもちして、気が付いたら正月が終わった。成果物としては、弟のプロスピで「なるほどね」という一塁手を作成したくらいだった。

 

労働「おひさー!」

私「😂」

 

 新潟へと戻った。 

 

【好きな短歌⑥】全員で死に方さがした日の えっ?えっ、えっ?打ち上げが、あったんですか?/直泰

 

全員で死に方さがした日の えっ?えっ、えっ?打ち上げが、あったんですか?

直泰『刑務所のみんなで歌ったふたつのJ-POP』(稀風社『墓には言葉はなにひとつ刻まれていなかった』収録)

 

 好き/嫌いや、愛という大きな概念を持つ単語は、自分の感情をストレートに表出することができて、使い勝手に優れる。特に死という単語は、大きい単語の中でもトップクラスにポピュラーな言葉だ。誰だって一度くらいは死にたいと言ったことがあるだろう。
 使いやすさは、擦り減りやすさと言い換えることができるかもしれない。みんながこぞって使うことによって、かえって感情がぼやけてしまうことがある。愛しているや死にたいに耳が慣れてしまった私たちは、それらの言葉を重く受け止めずに流してしまうようになってしまっているのかもしれない。
 今回引用した歌でも、死という単語が使われている。しかし、この歌では死という単語を使うことをゴールとはせずに、むしろ死という単語を踏み台にして、死だけでは表しきれない絶望を生み出すことに成功している。
 何人かで集まって死に方を探しに行く。SNSなどを通じて集まったのだろうか。集団自殺がニュースになっていた時期があったが、この歌はその前段階である。いわば下見のようなものだ。全員という、集団で死というゴールに向かっている、一種の仲間意識のようなものがちらついてしまう。あまり悲愴感が感じられないように思えてしまうのだ。主体も、その仲間意識に動かされながら、死に方を探しているように感じられる。
 なんというか、この<死に方さがし>に参加している人々は、すぐには死なないんじゃないかなという気持ちにさせられるのだ。
<死に方さがし>が終わって、主体は一旦生活へと戻る。しかし後日、主体は何かの拍子に、その後打ち上げがあったことを知ってしまう。死に方を探した人々は、ある程度やり遂げた達成感からか、打ち上げをしていたのだ。やはり、彼らに死ぬ気なんてなかったのだ。
打ち上げは物事を締めるような働きをもつ会なので、<死に方さがし>はいったん終了する。死に方さがしの終わり=実際に死へと向かう、と考えられなくもないが、打ち上げを企画しようとする、あるいは声がかかる人間は、社会にいてもなんとかやっていけそうで、つながりを断ち切ることができないように思えるのだ。
 対する主体は、打ち上げに誘われていない。<死に方さがし>をしたグループから断絶されてしまっている。なんて残酷なのだろうか。<死に方さがし>をしたグループで、主体はいなかったもの、存在を認められなかったものとなっている。もう、そのグループで主体は死んでいる。
 その動揺が一字空け後の、「えっ?えっ、えっ?打ち上げが、あったんですか?」という部分からも伺える。読点が入ることで、思考がまとまらない様子が出ていると思う。
 死ぬことを考えている人間からも断絶されてしまう、これは死ぬことよりも怖いことのように思える。死んだ後も、同じ死者たちの歓迎会に呼ばれないように思えてしまう。前にも後にも断絶が見えてしまうような気がする歌だ。主体はもう生きることも死ぬこともできないのではないだろうか、
死を使って、死を超えた絶望感を生み出せる短歌は、そうそうないと思う。

空中泥棒『Crumbling』

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 2018年リリース。韓国の宅録アーティスト、空中泥棒による2ndアルバム。正確に言えば、前名義の公衆道徳で1stアルバムを出しているため、空中泥棒名義としては初のアルバムになる。

 

 公衆道徳名義で発表された前作では、アコースティックギターを中心に構えた、ノイズが時折織り交ざる、宅録の空気を生かした温かみのあるサウンドが持ち味だったように思える。

 今作では、前作で大活躍したアコースティックギターは少し後ろに下がった。変わりに温かみのある電子音が前作以上に散りばめられている。この電子音が、アルバムに様々な顔をもたらしている。

 弾けるような電子音が、アルバムの始まりを告げる『なぜ?』、アコギと電子音が遠くの暖かな世界へ連れて行ってくれるような『鉄鎖』、空気の中で揺れながら現れるイントロが特徴的な『曲線と透過性』と、アコギと電子音を美味く織り交ぜながらアルバムは進んでいく。前作に比べると、音世界はドリーミーなものになっているように思えるが、夜ではなく、冬の晴れた朝に聴きたくなる。

 また、女性ボーカルとして、同じく韓国でプロデューサーとしても活躍している、シンガーソングライターのsummer soulを起用している。柔らかな歌声は、空中泥棒の世界観に溶け込んでいる。

 前作と違う顔を見せながらも、ゆるやかな音の世界で楽しませてくれるアルバムだ。

 

 ちなみに、日本盤のCDには、アルバムの最後に隠しトラックが収録されている。

 

【トラックリスト】

1. なぜ?
2. 鉄鎖
3. 閉じたように
4. 曲線と透過性
5. 共に崩れる
6. 守護者
7. 泥
8. 消息無し

 

金沢に対してやや尖っていた友人と旅に出る

 基本、旅行に行くときはあまり計画を立てないタイプである。

 生活の外に出ていくのが旅行だと思っているので、計画という生活で何べんもやらされるようなことをあまりしたくない、というのが本音だ。だから、行く県や街だけ決めて、後は当日歩きながら決める。そうすることで、視点や思考が観光地以外の街並みや、生活の外にある生活に目が向いて、面白いものが発見できたりする。これは私の感覚なので、計画を決めて観光地をどんどん巡るのも、別の楽しみ方があるのだろう。

 12月中旬、友人の誘いで金沢へ行った。大体1か月前くらいに行くことが決まったのだが、当日まで何も考えないことにした。私のイメージとしては、金沢と言えば兼六園だったのだが、友人としてはあまり興味がないとのことだった。金沢に対して尖っている人を初めて見た。

 なんやかんやで当日になり、私は新潟から金沢へ向かった。皆さんは新潟を知っていますか? 寝ぼけながら見ると怪獣に見えなくもない県です。

 ほとんど寝ていなかったため、電車ではほとんど眠っていたが、信越本線にあるトンネルを抜けると海がばーっと広がる瞬間は記憶に残っている。突然海を見せられると人はワクワクするらしく、乗客の中には写真で海を取っている人もいた。

 その後は新幹線に乗り換え、出発から5時間で金沢に着いた。新潟から金沢はそこまで離れていないのではと思う人もいるかもしれないが、乗り合わせが悪いとかなり待たされることになる。私は途中の駅で1時間以上待った。ポケモンで登場するマサラタウンとグレンタウンは地理上は近い(分からない人は各自ググってください)が、ゲームではかなり遠回りをする必要がある。そういう感覚に近い。近いのかな。近くないかもしれない。いや近くない。いらん比喩を生み出してしまった。忌み比喩だ。

 金沢に集合時刻の1時間ほど前に到着したが、気力が無かったため待合室で居眠りしていた。やがて集合時刻に近づいたので改札を出て、友人と合流した。どうやら友人も行きたい場所が決まっていなかったらしい。金沢でいきなり宙ぶらりんになってしまう二人。とりあえずひがし茶屋街に向かうバスに乗る。500円出すと特定のバスが乗り放題になるチケットがあり、友人の勧めでそれを買うことにした。

 バスに乗っている間、資格の話をした。世の中には強い資格と弱い資格があり、それらを組み合わせて最強の資格を作ることもできそうだ。

 ひがし茶屋街にあるビストロで昼食をとることにする。二人とも一番安いカレーを頼んだ。旅行をするときはあまりお金をケチらないほうがいいというのは、様々な場面でささやかれているが、単純にビストロというあまり聞きなれない場所にビビってしまい、こういう結果になった。

 その後は金沢城公園を見に行った。とにかくだだっ広い。昔はかなり栄えていたのではないだろうか、ということが身をもって体感できる。ただし、城自体に高さはない(火事で焼失したらしい)ため、城に高さを求めている人は拍子抜けするかもしれない。

 城の中も見学した。

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「ボタンを押すと3分間音声がとまりません」の言い方が怖い。

 城はムーンウォークができる場所があったり、降りるのが怖い階段があったりと、エンターテイメントに富んだ場所だった。

 その後は兼六園に向かった。観光地だったからだ。

 見ごたえのある庭というのも存在するらしい。友人もしきりに「最初から行けばよかった」と悔しがっていた。観光地に対して尖ってもあまり意味は無い。雪が降るともっと見ごたえがあると思う。

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 新旧揃い踏みの杭があった。

 

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 左手のやり場に困っている像もあった。

 兼六園を見終わった後は、甘いものが欲しくなったので再びひがし茶屋街に向かった。景観に配慮したカフェに入り、コーヒーと大福を食べた。

  その後は駅に向かい、夜食の買い出しをした。二十数年生きているのに夜食のコツをつかんでいない私は、蒲鉾と生ハムを買うことにした。

 やることも無くなったので、宿へと向かうことにした。宿がカプセルホテルだったので、どうなんだろうと思いつつ了承したが、友人はどうやら併設されているレストラン的な場所をかなり気に入っているらしい。

 実際、友人は夕食を食べ呑みしている数時間、かなり口角が上がりご機嫌だった。気兼ねなく過ごせる友人が上機嫌な状況は、見ていて気持ちが良い。仕事の話、プライベートの話、普段自分が作っている短歌の話をしていたが、後々聞いたところ後半は覚えていなかったらしい。料理は美味しく、ブリは炙ると強くなるという知見を得た。

 その後は夜食を食べたのだが、お喋りは楽しかったものの、蒲鉾と生ハムは完全に蛇足だった。気力で蒲鉾を食べるという行為はあまりしたくない。

 その後は詠草参加の歌会の詠草について評を書こうとしたが、寝落ちしてしまった。

 

 2日目。起きるという行為が苦手な私は、かなりぐったりしながら朝食が提供されるレストランへと向かう。友人は元気だった。

 宿をチェックアウトして、近江町市場へと向かった。鳥のフンがすさまじい道路を越え、10時半頃に到着したが、人でわんさか賑わっていた。私たちはホタテの貝柱や鰻の蒲焼、コロッケを食べた。新鮮なホタテの貝柱には、のどごしという概念があるらしい。

 その後、少し時間をとってもらい、歌会の評をスタバで書いた。友人が友人でよかったと思う瞬間だった。

 お昼になったので、色々悩んだ結果回転寿司に行くことになった。20分ほど並び、寿司を食べた。寒ブリノドグロは暴力だし、あら汁は格闘だった。美味さで体力を消耗した結果、あまり量を食べることができなかった。

  昼食を終えた後は、他の場所に移ることにした。

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 金箔の巻き方がかなり雑なソフトクリーム。金沢旅行で一番グッときたものかもしれない。

 特に行きたい場所は思い浮かばなかった(金沢に対する知識が足りない)が、検討の結果金沢21世紀美術館に行くことになった。

 展覧会一覧を見ていくと、「DeathLAB:死を民主化せよ」というフレーズが目についた。二人で行ってみると都市と死に関する展示が行われていた。自分が先に飽きてしまい、近くのグッズ売り場へ移動した。良いアウターがあったのだが、結局買わなかった。今は少し後悔している。

 美術館を後にして、金沢駅に向かった。各々でお土産を買った後、本屋へ向かって簿記は取ったほうがいいかという話をした。旅行で簿記の話をするとは思わなかった。簿記だってそう思っているに違いない。

 その後は少し立ち話をした後、私は電車で、友人は飛行機に乗るため別れた。帰りの電車ではひたすら眠っていて、あまりにも眠りすぎていたためか、途中で乗る電車を間違え、詰んでしまうところだった。何とかタクシーを拾える駅で降り、家の近くまでバスが出ている場所まで向かい、帰ることができた。

 

 気兼ねせずに済む友人と行く旅行は、何もしない状況を楽しむことができる。だから楽しいのだと、1泊2日の金沢を通してしみじみ思った。
 



 

2019年はやや気さくでいたい

 明けましておめでとうございます。2019年にたどり着くことはできましたか? できなかった人はそういう年もあります。

 

 2019年になった(誰によって?)。去年を振り返ってみると、インターネットの外に出ていく機会が以前より少しずつ増えている気がした。これは8年間に及ぶTwitterライフの中ではかなりの動きである。

 動いてはいたものの、なかなか思うように体力や気力が続かないことも多くあった。いつの日か銀の弾丸で労働を滅ぼさなければならない。また、地方にいるとなかなか東京の行きたいイベントを全て網羅するのは難しいということも分かりつつある。地元にいたときは新宿まで往復で大体2000円くらいだったが、今は約2万円である。まさに桁違いだ。

 創作活動に目を向けてみると、短歌に力を入れた年だった。6月あたりから自分の短歌が変化していて、このあたりで何かしら心境の変化があったのだろう。きっかけは忘れてしまった。まあ2017年よりは短歌で何をしたいかが分かりつつある気がする。

 反対に小説はほとんど書けなかった。文フリで出した小説も、完全な新作ではなく、以前書いたものを2倍近く書き加えたものである。またアルバムの収集も、2017年より60枚ほど減ってしまった。もう少し掘り起こしたかった。お金め。

 

 ちなみに、2018年の目標は以下の通りだった。

①本を23冊以上読む

②ブログ記事を46本以上書く

文学フリマ東京(秋)で短歌・小説を頒布する

④イラスト・デザインの勉強・練習を続ける

 ①に関しては、36冊読んだので達成。②は47本なのでギリギリ達成。③は両方頒布したので達成。④は途中でやめてしまったので未達成だった。4分の3達成できたのでまあまあだと思う。

 去年を踏まえて、目標を考えてみた。

 

女「どうせ今年は未達成で終わるんでしょ」
 今年もちゃんとやるぞ!! あと女って誰だ?

 

 2019年の目標は以下のとおりである。

①本を40冊以上読む

②ブログ記事を60本以上書く

③フットワークを軽くする

④やや気さくである

⑤楽しいことにだけ向き合う

 本は読む時間をできるだけ毎日設けて、積読本を消化していきたい。興味があるとすぐ本を買ってしまうので、読むペースと買うペースがまるで釣り合っていない。

 ブログ記事に関しては、やはり更新の頻度を上げないと読んでくれる人も少ないので、できるだけ記事をアップしていきたい。特にアルバム紹介と一首評は積極的に行っていければと思う。

 私は起きるという行為が不得意で、そのため行けるはずのイベントを潰してしまうことが時々ある。生活費をゆるやかに抑えて、様々なイベントに顔を出せるようにしていきたい。

 他にも最近の気づきとして、気さくな人のほうが面白いことに遭遇する確率が高いということが挙げられる。私は殻に閉じこもりがちな傾向があるので、興味のあること、楽しそうなことに関しては殻から出ていきたい。完全な気さく(成熟した気さく、フル気さくなど、様々な言いかえができそう)にいきなりなるのは難しいので、やや気さくな人になりたい。最終的にはTommy february6勝訴ストリップあたりの椎名林檎になりたい。

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 そして最後の目標だが、これが一番重要かもしれない。

 労働に体力をぐんぐん奪われた結果、気力を失いかけることも多々ある。職場の人間関係は良好ではあるが、よくわからない外部の人間に怒鳴られて、精神的にかなり不安定になることもしばしばある(泣きながら労働に向かうのは良くないことだと思う)。私は、人が怒られているのを見ても精神的にグラついてしまう。誰かが怒鳴られているシーンはたとえドラマやアニメだとしても見るのが苦痛である。労働をしているときは絶えず恐怖にさらされているような感覚に陥る。つらいつらいマウンテンである。

 もう正面切って戦うのは難しいので、楽しいことや興味のあることに目を向けて、労働は流していく、自分が塊になりつつあるのを感じたら別の場所に移るなどの対策をしなければならない。完璧を求めて、正面切って戦う傾向が自分にはあるので、苦手だったり嫌なものは受け止めるのではなく、のらりくらりかわしていくことが、生きるためには必要だと思う。

 2019年、楽しく年末を迎えたい。

2018年に購入/レンタルして良かったアルバム10選

 2019年がいよいよ始まり、我々はそれに抗うことはできない。

 

 毎年行っている、1年間で購入/レンタルして良かったアルバムを10枚紹介していきたい。アルバムの簡単な感想と、公式で曲をアップロードしている場合はリンクも貼っていきたい。

 なお、2018年に「購入/レンタル」したものが対象のため、2018年リリースではないアルバムを多く含んでいる。読む前に是非ご了承いただきたい。

 ちなみに、今年は145枚のアルバムを購入/レンタルした。2017年より60枚ほど減っている。今年は様々なジャンルで気になったものを購入できれば一番だが、お金がそれを許してくれない可能性がある。金銭はメンヘラ。

 順位付けは行っていない。どれも良いアルバムだった。

 

※2017年以前の同じような記事のリンクを貼っておくので、お時間のある方は是非お読みいただけると幸いです。

komugikokomeko.hatenablog.com

 

komugikokomeko.hatenablog.com

 

MUTE BEAT『FLOWER』

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 1987年リリース。MUTE BEATの1stアルバムである。

 ゆったりとしたリズムと響き渡るトランペット。ドラムの音がはっきりしているからか、ダブの心地よさがこちらに効果的に伝わっているような気がする。

 レゲエというと多幸感のある音楽という勝手なイメージを抱いていたが、このアルバムからは多幸感というよりは、少しだけ涼しい夏の夕方のようなイメージを思い起こさせる。こういうアルバムを流しながら、涼しい日の夏のベランダでのんびりできると最高だと思う。

 

※公式で挙げている動画が無かったため、曲のリンクは貼りません。以下の記事にMUTE BEATがどのような活動を行ってきたかが詳しく書かれているので、是非どうぞ。

www.redbullmusicacademy.jp

 

 

SHUREN the FIRE『My Words Laugh Behind The Mask

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 2003年リリース。SHUREN the FIREの1stアルバム。

 このアルバムを知ったきっかけは、PUNPEEがBoiler Room Tokyoで行ったDJである。このアルバムに収録されている『Punk』が流れていた。少し古めのジャズとヒップホップが融合されていて、アルバムをすぐ購入したいと思ったが、廃盤になっているらしく、Amazonには足元を見られてしまった(8000円以上の値がついていた)。最終的には大宮のディスクユニオンで見つけてめでたしめでたしだった。

 ジャズを基調とした落ち着いたトラックに、平和と札幌を押し出したリリックが乗っていて、夜中に聴きたくなるアルバムである。なかなかアルバムを足元を見ていない価格で購入できる手段が少ないのが残念である。

 

※公式のPVなどが無いため、PUNPEEがBoiler Roomでプレイした際の動画をリンクとして貼っておく。11分3秒ころから流れる曲が上記アルバムに収録された『Punk』という曲である。

youtu.be

 

 

印象派『Nietzsche』

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 2013年リリース。大阪のガールズユニット印象派の1stミニアルバムである。

 PVを見ると、奇を衒いに来ているのかなと思ったが、アルバムを聴いた瞬間その偏見は一瞬で覆された。雑食的な音楽性なのに、曲として中途半端にならず、強度が高いところが痺れる。

 まず1曲目の『Volcanic Surfer』で心を掴まれた。4つ打ちのギター中心のロックだが、この曲は1回目と2回目のサビ後半で少し展開が変わっているところにカッコよさを感じる。アウトロのベースラインも印象的だ。

 そんなアルバムの中で1番衝撃的だったのが、4曲目に収録されている『ENDLESS SWIMMER[true]』である。ベースとドラムが基調になって進んでいく、展開としてはミニマルな曲なのだが、後半のドラムが激しくなるところで、一気に場面が変わっていく。ミニマルな展開なのに、ポップさが失われていない。恐ろしい曲だ。

 

※『ENDLESS SWIMMER[true]』の短いバージョン。

www.youtube.com

 

 

Nicolas Jaar『Sirens』

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 2016年リリース。Nicolas Jaarの2ndアルバム。

 大雪の日に歩きながら聴いたことがあったのだが、このまま終末へ向かっていくのではないかという雰囲気に1曲目の『Killing Time』を聴きながら思った。この曲は砕け散るようなウィンドチャイムで始まり、張り詰めたピアノとドラムが響き渡る。11分超という長尺曲でありながら、全く飽きさせない。時折亡霊のように感じるボーカルと、アンビエント、ポストパンクなど様々なジャンルを織り交ぜた曲群と悲劇的な歌詞で、寒々しさと激しさが交互に現れるアルバムに仕上がっている。

 

※公式の動画が見つからないため、リンクは貼りません。 

 

 

天気予報『雰囲気』

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 2017年リリース。天気予報の2ndアルバム。

 天気予報という珍妙な名前で分かる人もいるかもしれないが、ジャンルはVaporwave、もっと細かく言うと、Signalwave/Broken Transmissionである。昔(1980~1990年代のものが多い)のCMやTV番組のサンプリングをスクリュー、ループさせたこのアルバムは、ある時代に対するノスタルジー(まだ筆者は生まれていないが)、を感じさせる。また、幾度かCMが流れるのも、テレビを垂れ流しているような感覚になる。

 そんなノスタルジーを消し飛ばすような不穏な結末がこのアルバムにはまっているが、実際に聴いていただくのが一番早いと思う。

 

 

 

衆道徳『公衆道徳』

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 2017年リリース。公衆道徳の1stアルバム。

 韓国のアーティストらしいが、どういった人物なのかは調べてもあまり出てこない。Lampという滅茶苦茶良い曲を作るバンドで活動している、染谷太陽氏が主宰しているレーベル『Botanical House』から日本盤がリリースされた。

 どの曲も、アコースティックギターと主張しすぎないボーカルが中心となっているのだが、混沌としたアルバムになっている。生々しいアコギの音がグッと盛り上がる部分が特徴的な1曲目の『白い部屋』、少し輪郭がぼやけた歌が浮遊感を与えている3曲目の『パラソル』、終盤で切れ味鋭いアコギとともに音が流れ込んでくる4曲目の『ウ』など、聴きどころも多い。宅録だからこそできるローファイながらも生々しい音像は、リピート必至である。

 

soundcloud.com

 

 

怖い卓球部『スマッシュ1』

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 2018年リリース。インターネットを拠点としたバンド、HASAMI groupの中心人物である青木龍一郎氏の呼びかけで作成されたアルバムである。総勢11人が参加しているが、素性がほとんど分からない人もいた。

 「15分以内にトラックを制作する」「作詞時に15秒以上手を止めない」というルールのもとで作成された曲が集まった結果、完成度という次元では測定できない怪盤となった。

 ドロドロとしたギターのサウンドに乗せて、亀を飼ったあとのささやかな困惑を歌った『ミドリガメ』、作曲・作詞時間0秒の『おかま登場』、最後の最後で外に投げ出されてしまうような歌詞の打ち込み主体の曲『理由なき坊主』など、怪しく光る楽曲が揃っている。約23分という短いアルバムだが、かなり脳をかき混ぜられる。

 

www.youtube.com

 

 ここからダウンロードが可能。

http://iaodaisuke.web.fc2.com/kowaitakkyubu/smash1.html

 

 

HASAMI group『MOOD』

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 2018年リリース。HASAMI groupの19thアルバム。

 HASAMI groupの屈折した世界観とバラエティに富んだ曲のラインナップを維持したまま、聴きやすい仕上がりになっていて、今年何回も繰り返して聴いた。悲しさと楽しさを間を行くようなピアノのフレーズが特徴的な『PIANO』は、帰り道で聴くとかなりグッとくる。

 前半はポップな曲が多いが、インスト曲の『MOOD』を境に、『カズマの面白FLASH倉庫』『ショック情報』『リストカット・ディズニー』と暗めの世界観を打ち出し、社会の理不尽なライムが牙を剥く『 HIKIKOMORI MC BATTLE vol.3』、暗さと気持ち悪さが極まった『Cameraman』で最高潮になる。ポップさと暗さの先で、最後の『景色が欲しい』が始まった瞬間、なぜだか泣きそうな気持ちになるのだ。

 

 

 

Various Artists『WEB / そ の 意 味 で』

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 2018年リリース。 猫 シ Corp.、Nmeshなど、Vaporwaveというカテゴリーの中で名の知られているアーティストたちが参加したコンピレーションアルバム。

 胸像と古いOS・ゲーム画面のコラージュ、執拗なループとスクリュー、フィルターのかかった音像というあまりにもストレートなVaporwave像は、ノスタルジーに対するノスタルジーを感じさせる。Vaporwaveを初めて聴く人は、このアルバムから入ってもいいと思う。

 個人的に一番好きな曲は海岸『すてきな階段』で、ループされた音が少しずつドロドロに溶けていく感覚は、ある種の催眠効果を感じさせる。

 2018年の1月にVaporwaveへのノスタルジーを感じさせるこのアルバムがリリースされた。2019年、Vaporwaveはどこへ向かうのだろうか。

 

 

 

cero『POLY LIFE MULTI SOUL』

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 2018年リリース。ceroの4thアルバム。

 3rdを聴いたときに、2ndの時から結構変化しているなと感じたが、前作と今作を比べてみてもその感想は変わらなかった。3rdアルバムに比べて、リズムに力を入れていると感じた。アフリカ的なリズムがところどころで目立つ。メロディだけでなくリズムの移り変わりでも楽しめるアルバムである。

 2曲目の『魚の骨 鳥の羽根』は3拍子と4拍子を行き来する、流れるように盛り上がっていく曲だ。時折使われるシンセサイザーも効果的である。

 1st、2ndアルバムあたりの、現実から少し抜け出した部分を描いたような歌詞よりも、このアルバムの4曲目に収録されている『薄闇の花』の歌詞で流れている空気に心を動かされる。こういった緩やかに空気が動いている曲、なかなか無いよなと思い何回もリピートした。5曲目の『遡行』の後半で3拍子になる部分も好きだ。

 

www.youtube.com

 

2019年はどういうアルバムに出会えるのだろう。楽しみである。